29「ゲームセンター」
・現代怪談話・伝聞
とある中小企業に勤めるサラリーマンから
聞いた話。
今年アラサーの彼は、いわゆるゲームセンターに
中学生くらいから入り浸っていたという。
ある日、彼はシューティングゲームをプレイして
いたが……
隣りにニ十才くらいのOLらしき人が座り、
彼のプレイを眺めていた。
今思えば行動は不審だが、年上の女性に見られて
悪い気はせず―――
彼はそのままプレイし続けた。
しばらくするとゲームオーバーになったが、
そこで彼女がすっ、と追加で硬貨を入れ、
画面を指差した。
プレイを続けろって事かな?
そう察した彼はゲームを続け……
その場コンティニューだった事もあり、
クリアまで何とかプレイした。
しかしクリアした時、そこには誰もおらず、
『何だったんだろうな?』と不思議に思った
という。
「それで高校卒業後、社会人になったんだけど」
就職先でその女性に出会ったという。
だが年齢は自分より二歳だけ年上、他人の空似
かと思い、しばらくは気にしなかった。
何のきっかけか忘れたが、やがて彼女と付き合う
ようになり……
ふと気になっていた事を話してみると、
彼女もまた、ゲーセンでゲームプレイを
見続けたくて、少年におごった記憶があった。
「その時のゲームも見せたんだけど、
『これこれ』って言ってて―――」
二人の間では、どちらも似たような経験が
それぞれ偶然あった、という事で納得した。
ただ彼は、そのゲームセンターがあった場所を
しっかりと覚えていたそうだが……
彼女の方はどうしても思い出せなかったという。
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