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百怪  作者: アンミン
怪異
226/300

26「信頼性」

・思い込みについて。


お寺で修行している知り合いの話。


いわしの頭も信心から、という言葉がある。

どんな物でも心から信じてしまえば、価値があると

思えるようになる、という事。


「効果としてはどうなんでしょうか」


彼が同僚とそう話していたところ、彼らの

師が話に入ってきた。


「プラシーボ効果ってわけじゃねえが……

 変な話を聞いた事がある」


そこで師は弟子たちを前に話し始めた。


それは海外にも進出しているメーカーに勤める、

ある会社員の話。


そこの会社はいろいろな工具や機械を輸出していた

そうなのだが―――

ある時、出張先の国で相談された事があった。


何でも村にある水を汲み上げるポンプが

壊れたとかで、それを直してくれないかと

頼まれたという。


彼のところではそんな商品を扱っては

いなかったが、日本製という事で、

技術者でもあるし日本人に診てもらいたい、

と懇願され、仕方なく一度見てみる事にした。


「何だこりゃ」


開口一番、そのポンプを見て彼は言った。

それは日本製ではなく、他のアジア圏のもの

だったらしい。


何でも二十年ほど前に村に設置されたと

いうのだが、村長に事情を聞いてみると、


「当初は故障だらけだったんで―――

 苦し紛れに、『これは日本製だ!』

 『日本が作った物が故障するはずが無い!』

 と言い張ったらしい。


 そう言い続けているウチに……

 本当に故障せずに動き続けるようになったとか」


そのポンプは、形式的にはアナログな感じ

だったので、一応彼の技術の範囲で直せた

との事。


「それ以来―――

 『あれは日本人が直してくれた』

 『あと十年はもつぞ!』

 と噂が立ったと」


日本ブランドとその思い込みが―――

本当に効果がある物にしてしまった、

そうみんなが納得していると、


「もっとも、最近はそのブランドも怪しい

 モンだけどなあ」


最後に師は皮肉を言い、全員が苦笑した。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。


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