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百怪  作者: アンミン
怪異
209/300

09「混線」

・現代怪談話・伝聞


ある大手商社に勤める男性から聞いた話。


今でこそ柔和な性格をしている彼だが、

若い頃は融通のきかない人間で、社内でも

有名だったらしい。


「電話の対応とかもね。

 たいていは下請けの会社が相手なんだけど、

 席を外している人間の予定とかわからない、

 と言われると怒鳴ってた。

 『同じ会社の人間の予定がわからないわけ

 あるか!!』って。

 嫌な人間だったと思うよ」


ある時、いつものように下請けの会社に

連絡を取っていた。

しかし、その時はいつまで経っても電話が

つながらなかった。


「何か時々、小さな子供の声が聞こえていたな。

 笑うような、笑いを押し殺すような声」


なんだろう、と思っているとやっと先方が

電話に出た。

だが目的の相手ではなく、聞くと『○○は

席を外しておりまして―――』と返してきた。


「で、『行き先は?』と聞いてさ。

 『すいません、確認します』って返ってきて、

 それでまた怒っちゃって。

 『何で同じ会社にいてその人間の行き先が

 わからないんだ!!』って」


ふと、電話の声が止まった。

どうやら目的の相手が来たらしい。

その声は、『あ、○○クン、電話』と言って

交代した。


「その相手は部長クラスだったんだけど、

 その部長を“クン”呼ばわりする相手って

 一体……

 そう思って今までの電話の相手を聞いたんだ」


返答は、“うちの社長が何か?”というもの

だった。

いかに先方が下請けとはいえ、取引先の社長に

無礼は許されない。

何度も先方に頭を下げ、後に詫びの品を持参し、

事無きを得たという。


「あれ以来、怒ったりするのは止めたよ。

 相手がどんな立場であろうと、取り合えず

 頭を下げていれば問題無いし」


後に、その会社に電話で聞こえた子供の声の

事を話すと、“ああ、やられましたか”と、

事も無げな返答をされたという。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。


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