表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百怪  作者: アンミン
闇語り
200/300

100「記録」

・公式な書類について


お寺で修行している知り合いの話。


闇語り26話「捜査」、27話「確認」で、

行政や公的機関が、『そのようなもの』に対し

どういった対応をするのか、という話が

出て来たが、


「科学的なものしか残せないとしても、

 何か一つくらいは、不可思議な事とか

 記録されていないんですかね」


彼が何気なく同僚に話を振ると、昔はあったんじゃ

ないか? いや今でも少しはあるだろう、と意見が

交わされ―――


「でもまあ、いくら何でも警察が祟りだの

 呪いだの……

 非科学的なものを認めるわけには

 いかないでしょ」


と、ありきたりな結論になりそうになった時、

彼らの師が扉を開けて入ってきた。


「そういえば師匠。

 以前、宗教絡みの事は行政関係で絶対に

 予算が下りないとか言ってましたが」


「ん?」


彼らから、今まで話していた事を聞くと師は、


「記録ならいくらでも残っているが。

 どう考えてもそれ絡みだろっていう」


その答えに全員驚いたが、


「……行政機関って、そういうの認めて

 いいんですか?」


「さすがに呪いだ何だは認めねぇよ。

 ただ、捜査したものとかは普通に記録に残る」


どういう事かと聞くと―――

以下のような事例があったという。


夜中、毎晩家の前まで来るストーカーに頭を

悩ませていた家庭があったのだが、


警察が張り込んで犯人を捕まえ、彼から

供述書を取る事になった。


いつからストーカーしていたのか、動機は何か、

詳しく調書が作られていったのだが……

途中からおかしな方向になった。


「犯人の話によると、ショートの髪を

 シルバーに染めた10代後半くらいの

 少女を付け狙い、ストーカーをしていたと

 いうんだが」


ただその家族には該当する人物はおらず、

娘さんはいたが一人娘で、髪は黒の長髪、

染めた事など無く、


また娘さんは20代後半であり―――

犯人に後ろ姿の写真を見せたが、身長も何もかも

違う、と供述したという。


「適当にウソをついて、罪を逃れようと

 していたのでは」


「取り調べをしていた担当もそう思って

 いたそうだが、それから犯人の様子が

 おかしくなっちまってな。


 ものすごく怯えるようになり―――

 罪は全て認めるから、人のたくさんいる

 刑務所に入れてくれと言い出した。


 精神鑑定でまあ、『無罪』にはなったものの、

 裁判が終わる頃には病院行きになったらしい」


もちろん、呪いだ祟りだとは書かないが、

供述書にはそのまま犯人の言い分が記録され、

残されたという。


「犯人はいったい何を見たんだろうなあ。

 いや、それよりも―――」


その銀髪の女性に手を出していたらどうなったん

だろうな?

という師の疑問に、誰も答えられなかった。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。


みなさまのブックマーク・評価・感想を

お待ちしております。

それが何よりのモチベーションアップとなります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ