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百怪  作者: アンミン
闇語り
191/300

91「精神」

・心の性について


お寺で修行している知り合いの話。


ラノベやそのテの雑誌等で、性転換、または

心と体の性が逆転・真逆というのは―――

一つのジャンルになりつつあるが……


彼と同僚たちとの間で、そもそも魂や霊体と

いうものに、性別はあるのだろうか?

そういう話になり、盛り上がっていた。


そこに師が入ってくると、全員が黙り込んだ。

さすがに宗教や仏教の話にはほど遠いと思い、

ばつが悪そうにしていると―――

彼らの中でも一番年下の同僚が、その疑問を

師へ放った。


「魂とか霊の性別、か?」


全員が緊張した面持ちでいると、彼らの師は

少し考えて、


「いや別に無関係って話でもないぞ。


 変成へんじょう男子って言葉がある。


 古来、仏教では―――

 女性は基本的に地獄行きって教えでな」


出産経験があれば「血盆池けつぼんいけ地獄」へ、

無ければ「不産女うまずめ地獄」へ―――

今考えれば無茶苦茶な話であるが、当時から

その救済措置は存在していた。


「だから、いったん女性は男になって、

 成仏出来るようにするって考えだ」


それで成仏する事を転女成仏てんにょじょうぶつ女人変成にょにんへんじょうといい、

成仏出来るようにするのだと。


みんながうなずきながら聞いていると、

空気の読めない若い弟子が再び口を開き、


「でもそれは死後の世界であって……

 肉体と精神が逆になる、という話では

 ないですよね?」


全員が声にならない声を出していると、


「そっちの方は神道しんとうというか、

 別方面だな。


 変性へんじょう男子、変性へんじょう女子という言葉がある。


 変性男子は肉体こそ女性だが霊は男性、

 変性女子はその逆だ」


その昔、金明会きんめいかいという教団があり―――

そこの開祖・出口直でぐちなおが変性男子であり、


その娘・出口(すみ)と結婚した出口王仁三郎(おにさぶろう)

変性女子なのだという。


「出口王仁三郎は有名だから、名前くらいは

 知っていると思うが……


 ところで、どうしてそういう話になったんだ?」


そこで一番若い弟子はラノベからと正直に答え、

全員が読経を命じられた。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。


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