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百怪  作者: アンミン
闇語り
190/300

90「ナマもの」

・体に必要な物について


お寺で修行している知り合いの話。


ふとしたところから、同僚と即身仏そくしんぶつの話に

なったという。


生きながらにして仏になるという考えで―――

食べる物を限定的に減らし、最終的にはミイラに

なる事が前提の修行だ。


決まり事や手順など、意味はあるのか、

理由は……

という感じで話し合っていると、師が部屋に

入ってきて、そのまま話の輪に加わった。


「宗教的な理由はともかくとして……

 合理的な理由はあるんでしょうか」


彼が師にたずねると―――

初老の男は両腕を組んで、


「準備だからな。

 そりゃ、いろいろ考えるだろう」


そもそも高温多湿の日本では、ミイラになる条件が

厳しいのだという。


だから徹底して脂肪分を落とさなければならない。


五穀断ち・十穀断ちと呼ばれるものがそれで……

後は木の実や山草だけで過ごす。


「最後は、塩と水だけで過ごしたという記録も

 あるが……

 体に必要な栄養源とか、各条件とかわかって

 いたようなフシもある」


例えば、木の実とはあるが山には果実もある。

だがそれらは修行に含まれていない。

ミイラになるためあらゆる水分を拒んだ、と

考えられるが、


「糖分はいち早くエネルギーに変換される

 からなあ。


 あと、生ものには酵素が含まれる。

 食べ物を栄養に分解する働きがあるものだ。


 意図的にかどうかは知らんが―――

 そういうものを徹底的に避けていたとしか

 思えん」


現代の栄養学にも通じる……

そう、全員が感心して聞いていると、


「だからお前らも―――

 ちゃんと生もの食べるんだぞ」


彼らの師は意地悪そうに笑ったという。


( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。


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