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百怪  作者: アンミン
闇語り
184/300

84「原因」

・きっかけや理由について


お寺で修行している知り合いの話。


言い伝えや伝承等で―――

幸せに、または不幸になったという話は

たくさんあり、因果・因縁はたいてい

ハッキリしている。


たいていは道徳規範にのっとったものであり、

それを考えると、事実というよりは創作、または

事実に付け足したという事が考えられ……


ではどこまでが事実なのだろうかと、彼が

同僚と話していたところ、


「実際のところ、まあ―――

 ろくでなしやヤクザ者を『悪』として、

 それから助けてくれた者を『善』とする、

 くらいはしているだろうよ」


話に割って入ってきた師曰く―――

特に『悪』の方が身分の高い相手だったりすると、

倒した方を称えるわけにもいかないので、

『ぼかして』表現する事はよくあるとの事。


「では、事実をそのままに伝えているものは、

 あまりなさそうですね」


彼のその言葉に、


「そうとも限らん」


師の答えに、全員が耳を傾け―――


「因果や因縁、または原因となる理由が

 『明確に』語られている場合は、たいてい

 何らかのバイアスが掛かっていると思って

 間違いない」


では、事実そのままのケースは?

と彼が聞いたところ師は続けて、


「原因や理由が不明の場合だな。


 『何でそうなったかわからない』

 『どうしてなのか説明されていない』


 そういうのは事実を語っていると思う」


師の説明によると、通常であれば虚飾、

もしくは誤魔化ごまかそうとして何らかの理由が

付けられる。


「でかい建物とか神殿とか―――

 『ある日、ゆえなく倒れる』とか記録されて

 いるものがあるそうだが、建築強度とか形とか

 シミュレーションしてみると、実際にそういう

 現象が起こるらしい。


 でも昔の人間にゃ何の事かわからなかったから、

 『わからないけど何か倒れた』、としか書かれ

 なかったんだろう」


今の知識や科学なら理解出来るが……

昔はどう考えても理由が付けられなかった場合、

そう書き残すしかなかったのだろうと。


その師の言葉に全員がうなずいていると、


「後は―――

 『本当に不明』の場合というのもある。


 『鬼となれり』とか『ゆえなく取り乱す』とか、

 原因はわからないが突然そうなった、という

 話もちらほらあるんだが……


 誤魔化そうとしていない分、かえってそういう話が

 信憑性あるんだよなあ」


師の話にどう反応していいかわからず、

全員沈黙したという。



( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。


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