77「効率」
・技術や方法の革新について。
お寺で修行している知り合いの話。
彼が呪いや呪い、または祈祷について同僚と
話し合っていた時、ふと誰かから―――
『今も昔も同じやり方なのだろうか?』
という疑問が出てきた。
簡略化とか、何やら更新とか効率化とかは
あるんじゃないか、という話が出た時、
師が入って来て、
「そりゃあるんじゃないのか?」
とあっさり肯定した。
例えば般若心経、もしくは心経と呼ばれる
ものがあるが―――
仏教の核心を短文にまとめたものであるし、
またチベットでは、マニ車というものがあり、
これは円筒形の物に経典を巻き付け……
カラカラと回す事で、回転させた数だけ
功徳があるとされているとの事。
「それでもいいんですか……」
と、彼が半ば呆れ半分で返すと、
「まあ、全部が全部いいとは限らんけどな」
そう師が話し始めたのは―――
海外の話だが、水源や水脈を占いで見つけるのを
生業としている一族がいて、その地域では結構
重宝されていた。
しかし近代になって『今さら占いでもないだろう』
と、科学的な方法に切り替えようとする動きが
出てきたという。
だがその結果―――
科学的な方法より占いの方が水脈を掘り当てる
確率が高く、コストの問題から占いが引き続き
採用されているらしい。
「何でも新しい物がいいって事でも無いんですね」
彼がそう言うと、他の同僚も神妙にうなずいたが、
「楽になるんならそれはそれでいいんだけどな。
さっき言ったマニ車なんか、ソーラー電池で
自動的に回る物もあるらしいぜ」
その師の言葉に、室内が何とも言えない空気に
なったという。
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