74「頼る」
・拠り所について
お寺で修行している知り合いの話。
怪談話で、金縛りや恐怖で動けなくなっている時、
『神様!』とかお経を唱えて何とかやり過ごそうと
するのは、お馴染みの展開だが―――
「でもたいてい助かりませんよね」
彼の話に同僚たちがうなずいた。
効果が無いのか、それとも信心が足りないからか
それはわからないが……
結局怖い目にあうのがお約束であり、お決まりの
パターンでもある。
「まあそれで終わっちゃ怪談にならねえし」
その話を聞いていたのか、彼らの師が入ってきた。
確かにそれはそうだけど……
と全員が苦笑していると、彼は師に、
「師匠の場合はどうしますか?」
話を振られた師は両腕を組んで考え、
「そりゃまあ、お経唱えるっちゃ唱えるけど」
全員の力がガクッと肩から抜ける。
「効果あるんですか?」
「いきなりはねえよ。
最初は『何だ?』『どうしたいんだ?』とか、
質問というか落ち着かせる事から入る。
ダメだと思ったらそこで―――
ようやく教えやお経に頼る感じか」
対処や対話がまず先にあり、自分で出来る事に
全力を尽くし、それでどうしうようも無くなって
から―――
自分以外のものに頼るのはそれからだという。
「そもそも、困った時だけ神頼みしても……
助けてくれる神様はそうそういないんじゃ
ねえのかな」
それを聞くと全員が苦笑したという。
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『百怪』は日曜日の午前1時更新です。
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