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百怪  作者: アンミン
闇語り
166/300

66「蓄積」【挿絵あり】

・無意識に積もったものについて


お寺で修行している知り合いの話。


ある時、彼が同僚と雑談をしていると―――

師が疲れた顔で部屋に入ってきた。


また何か厄介な相談や案件を受けたのかと思い、


「何かありましたか?」


「んー、まあ……

 それほどたいした事は無かったんだが」


何でも、30代前半と20代後半の姉妹が

寺へ訪れたそうなのだが―――

姉の方に病気やケガといった不幸が続くので、

心配になった妹が彼女を連れてきたらしい。


だが話を聞くと、姉はかつて妹の事を大変

助けていたそうで―――

今はニート状態だが、恩を感じた妹が家で

面倒を見ているとの事だった。


「う~ん……

 別の人から恨みを受けていたとか?」


知り合いが聞くと師は首を左右に振り、


「妹だ」


と即答した。

周囲の同僚も意味がわからず戸惑っていると、


「多分、無意識なんだろうなあ。


 それに、いくら助けてもらった恩が

 あるとはいえ―――

 何年も居候いそうろうされちゃたまらんだろうし、

 恩の大小を計る事は出来んが、とっくにその分は

 返すくらいの事をしていたんだろう」


確かに、最初に助けてもらった恩はあるが、

姉もそれに甘えてニートと化し……

妹の方も知らず知らずのうちに、負担を感じ

無意識下で憎むようになったのでは、という

話だった。


「問題なのは当事者の自覚が無いんだ。

 お互いに恨んだり憎まれたりする事などないと

 思っているから―――


 まあ一応、お姉さんもいつまでも妹の厚意に

 甘えてないで、行動してみたら?

 と言っておいたよ」


無意識の方が、『さらにその先』を行く場合も

あるからな―――

そう師は付け加えた。





挿絵(By みてみん)

( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。

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