61「共通性」【挿絵あり】
・東洋と西洋の類似性について
お寺で修行している知り合いの話。
闇語りの39話「境界」や、49話「表現」で
境界や境い目についての話があったが、
「そういうのって、外国にもあるんですかね?」
何気なく話す彼の言葉に、同僚たちが口々に
意見を交わし始めた。
やはり同じ人間だし、似通った考えはあるのでは、
と話し合ったが、そこへ師が参加し、
「日本の地方の伝承や、風土記にも―――
峠や往来に現れて、人々を困らせたり
害をなしたりする話はあるが」
恐らくは盗賊や山賊といった集団もおり、
治安は今とは比べ物にならないくらい悪かった
だろうし、それは西洋も同じだったのでは、
と説明した。
「まあそこは世界共通と言いますか」
「あとは、犯罪者や罪人を処刑した際……
衢に埋めていた、という記録もあるな」
チマタ? と聞き慣れない言葉にみんなが
首を傾げるが、
「分かれ道とか十字路とか、四方に通じる道という
意味の言葉だ。
そこにわざわざ埋めていたという事は―――
少なくとも良い意味はないだろうが」
ふむふむ、と全員が聞き入っていると、
「そんでな。西洋にも似たような話はある。
十字路に罪人の死体を埋めるとかな。
また十字路は死者の通り道であり、
そこに立って儀式を行えば、霊と交流出来るとか
悪魔を呼び寄せる事が出来るとか……
十字路の悪魔―――
クロスロード・デビルとかいうのもある。
これもある種の共通性だろう」
周囲が感心していると、彼はふと気になって
質問してみた。
「しかし師匠は、そういった知識をどこから」
「海外ドラマ」
その答えに、全員の体からガクッと
力が抜けたという。
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