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百怪  作者: アンミン
闇語り
149/300

49「表現」【挿絵あり】

・表せないものの表し方について


お寺で修行している知り合いの話。


闇語り39話「境界」で、『あっち側』と

『こっち側』を結ぶ間についての話があった。


彼の同僚と師が話している内に、その時、

『あっち側』をあの世、『こっち側』を現世と

見立てるのであれば―――


あの世そのものはどのようにして表現するのか、

という疑問が出てきた。


彼がそれについて全員に話を振ってみたところ、


「昔、こんな事があったなあ」


と師がつぶやいた。


「探し物とか、行方不明者とか……

 占いやら何やらで、そういうのを探す人が

 いたんだが」


師の話に全員が黙って聞き入り、続きを待つ。


「人だったか物だったか忘れたが、

 『東西南北、いずこにもあらず』―――

 そう結果が出た事があったらしい」


本来ならどこそこの西、どこかの山の東と

方向が示されるはずなのだが、その時に限って

何も出なかったのだという。


「すでに消失しているとか、もしくは死んで

 いるとかだったら、確かに場所は表現

 出来ないからな」


もしくはあり得ない物、物理的に不可能な事を

言葉や文字で表現する場合、矛盾した物だったり

相反する物だったりするのだという。


「相反する、ですか」


彼が聞き返すと、師は軽い口調で、


「言葉では何とでも言えるからなあ。


 『ハンサムなブ男』とか、

 『貧乏な金持ち』とか―――

 言いたい放題出来るだろ?


 昔からポピュラーな表現でもある」


大体の事は理解出来るが、昔から?

という部分に引っ掛かった彼が『例えば?』

と問うと、


「例えば、そうだなあ……


 『夜明けの晩』とか、

 『後ろの正面』とか。


 聞いた事はあるだろ?」


それを聞いた全員が、微妙な表情で

うなずいたという。





挿絵(By みてみん)

( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。

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