表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百怪  作者: アンミン
闇語り
147/300

47「新品」【挿絵あり】

・物への想いについて。


お寺で修行している知り合いの話。


古くなった物には神(もしくは霊魂)が宿る。

闇語り10話「九十九神」でもあった話だが―――

では、身の回りを新品を揃えていれば、

そのような現象に遭わないのでは?

と意見が出た。


ちょうどそこに彼らの師匠が帰ってきたので、

師の見解も聞きたいと、みんなで彼の元へ

移動した。


「ケースバイケースじゃねえか?

 そんなのは」


師が言うには、確かに年月を経て変化する

異形なら、新品には湧かないだろう、との

事だが……


「それ以外―――

 特に、人の念はなあ」


「?? 新品に人の念ってつくんですか?

 あ、作った人とか?」


その質問に、師はアゴに手を当てて考え、


「新品、というか……

 新品同様の物って事だ」


師曰く、一度でも人の手に渡った物は、

下手をすると長年使っている物よりも

強い執着がつくのだという。


「まあ、平成や昭和の話ではないが」


師が語り始めたところ、昔、いわゆる

人力車というものがあった時代―――


基本的にそれを運転する車夫は雇われで

あったらしいが、自分の人力車を持つ者もおり、

それは当然稼ぎに直結し―――

車夫たちの憧れでもあった。


そんな中、やっとの思いで自分の人力車を

購入した男がいたが、運悪く買った後すぐに

病気にかかり、車夫を続けられなくなって

しまったという。


彼は泣く泣く新品同様の人力車を手放す他

無かったが―――


「その後はまあお約束で、その人力車を

 買ったり使ったりした連中が、次々と

 不幸に遭ったって話だ」


だから新品同様でも、前の持ち主次第では

まずい事になる事もある……

そう師は苦笑しながら言った。


「でも、そんなケースはそうそう無いんじゃ」


彼が不安を払拭しようとして問い返すと、


「今の時代、中古売買とかリサイクルとか

 いろいろあるじゃねーか」


そう返され、全員が微妙な表情になったという。





挿絵(By みてみん)

( ・ω・)最後まで読んでくださり

ありがとうございます!

『百怪』は日曜日の午前1時更新です。

深夜のお供にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ