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百怪  作者: アンミン
闇語り
128/300

28「水」【挿絵あり】

・流れについて。


お寺で修行している知り合いの話。


川なり井戸なり、水辺は霊の話が多い。

別に溺死したりそこで死んだりしたのなら

わかるが、どうしてそこに現れるのだろう、

という話が同僚との話で出たらしい。


やはり水を求めるんじゃないか、生きるのに

最低限必要な物だから―――

とそれぞれが意見を出し合った時、彼らの師が

そこへ入ってきた。


「流れ、なんじゃねえかなあ」


ポツリと師匠が言い出したところに

よると―――

人間は基本的に生活の場を水場に求める。


遭難した時、川に沿って動くというのは

基本だし、また捨てたり浄化したりする、

最も基本的な流れは自然の水が行って

いるのだという。


「何の指針や方向を決める物が無い時―――

 一番、進退を任せやすいというか、原始的な

 『流れ』を求めるんじゃないかな」


三途の川も死の概念に直結しているし、

とにかく『流れに乗る』というのが本能的な

感覚であるのでは、と師は語った。


「だから水場っていうのは、憩いの場であると

 同時に、死に近い場所でもあるんだ。

 よく『引っ張られる』というだろ?」


誰かが、『どこが一番危ないですかねえ』と

何気なく聞いたところ―――

有名なアミューズメント施設の名前を上げた。


「特にお盆の時期は絶対に近付くなよ」


ざわめく彼らの前で、師はそう

締めくくったという。





挿絵(By みてみん)

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