27「確認」【挿絵あり】
・民間組織の心霊の扱いについて。
お寺で修行している知り合いの話。
前回、警察や行政は心霊に関わる事はしない、
予算も出ない、という話があったが―――
彼の師曰く『関わってしまう』場合はあるという。
どういう事かと彼が聞くと、要は警察としては
『事件』として扱うしか無いのだが……
被害者・当事者が『祟り』と認識している
ケースがあるらしい。
「それがバッティングすると―――
警察としちゃ、やりにくいったらありゃしないわな」
科学的な証拠集めの場所へ、非科学的な人間が
やってくるのだから、邪魔者以外の何者でもない。
「本格的に警察が関与している状況だったら、
そりゃ当然問答無用で追い出される。
ただ、疑いや調査の段階で、かつ探偵や興信所が
相手の時は微妙なんだよ。
ストーカーだの不法侵入者がいるだのっていう」
もちろん、お坊さんだから相手も無下に扱うような
事はしない。
しかし後から、と言われても、差し迫った場合だと
そうはいかない事もある。
例えば、これ以上ここに人がいると命が危ない時の
ような―――
「そういう場合はどうするんですか?」
と、彼が聞くと師は苦笑しながら、
「じゃああんたが一晩ここで泊まってくれ。
……って言うと、たいていは引いてくれた」
『たいてい』じゃない場合はどうなったんだろう、
と彼は思ったが、それは口には出せなかったという。