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百怪  作者: アンミン
闇語り
114/300

14「子泣き」【挿絵あり】

・その時・その意味について


・その時・その意味について


お寺で修行している知り合いの話。


じじいではない。

しかし、赤ん坊の泣き声といえば怪談でも

定番中の定番である。


「確かに、ゾッとしないものでは

 ありますけど」


彼無難な感想を述べていると、

師が口を挟んできた。


「何でそう思う?」


考えてみれば不思議な話である。

赤ん坊は無論非力この上ない。

どちらかというと保護すべき存在であり、

恐怖や用心する対象ではないはずだ。


「暗闇とか、

 “いるべき場所じゃないところにいるから”

 ……と思うのですが」


「それなら何だってアリだろう。

 狸の置物でもたまごっ○でも」


それもそれで嫌だが―――

そこで彼はふと思い出した事があり、

気を取り直して聞いてみる。


「そういえば、山神とかは赤ん坊の顔をしているとか、

 赤ん坊の声を出すとか……

 何か関係が?」


「知らん」


0.2秒で即答された。

師は頭をかきながら続ける。


「神様はよくわからん。だが―――」


師の話によると、赤ん坊というのは言うまでもなく

“この世に出てきた最初の形”

であり、またその声は

“この世で最初に発する音”

という事。


「だから、この世とあの世の境目さかいめ……

 もしくはそれが“薄く”なっている時。

 その警告音の役割を果たしていると考えている」


だからもしかすると、赤ん坊の声が聞こえてきたら、

それは外からではなく……

危険を察知した自分の頭の中で発している可能性も

あるのだと。


オカルトやら怪奇現象とやらやたら気味悪がるが―――

まずはその意味を考える事。

それが出来て半人前だ、そう彼の師は目を閉じながら

語ったという。





挿絵(By みてみん)

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