12「カウンター」【挿絵あり】
・対となり、脅威となるもの。
お寺で修行している知り合いの話。
闇語り01で、
・それまでの因縁は子が継ぐ。
・女は子を産んだ時に、その
因縁を子に全て渡す。
という概念があるのを書いた。
それだけ聞くと、女性は“器”であり、男尊女卑のような
考えからきている、と取れなくも無い。
「反論は出来んよ。
説明しようにも、出来るものじゃないからな」
額にシワを作りながら、彼の師は苦笑いしていた。
「ただなぁ。
昔から言われている事っていうのは、
体験やら何やら“根拠”や“理由”があって
言っているんだ」
前にも、相撲の土俵は女人禁制という伝統が
問題になった事がある。
「信じないヤツは何言ったって聞かないからな。
それでキッチリ代価を払った例をもう何度見た事か」
それでも、どちらかというと女性に対する
偏見の方が多いのでは―――と重ねて聞くと、
「……呪いや因縁は、女は子を産んだ時に全て渡す、
と言った事があるよな。
じゃあ、男の呪いや因縁に対して最も強力な
効果があるものって知っているか?」
彼が首を左右に振ると、
「その男の女性血縁者だ。
正確に言えば、その血。
姉、妹、娘、従姉妹と親等が
近ければ近いほど強力な効果がある」
「どうしてですか?」
彼の質問に師はため息をついて
「知るか。
“そうなっている”。
ただそれだけだ」
そう言うと雑巾を彼に渡し、
「話代だ」
廊下の雑巾がけを命じられてしまったという。





