06「システム」【挿絵あり】
・呪いや負のエネルギーに関して
お寺で修行している知り合いの話。
“呪われた”“呪いだ”という話は心霊モノで
おなじみだが、実際にはどれほどのものなのか、
師も交え、皆で話し合っていた。
「生きているなら別ですけど、
もし死んでいるのなら厄介ですよね」
誰かが言った。
それには彼も同意だった。
生きて恨みを晴らすのならともかく、
死んでしまったらその機会は無い。
だから“呪い”として永遠に残るのだと―――
「そんなに残らんよ」
意を察してか、それを否定するように師が声を発した。
「執念深い人間だって、
そう何年も何十年も怒っていられないだろう」
せいぜいが百年、という。
考えてみれば百年経てば対象は必ず死ぬし、
その子孫へ、と言っても恨みを持ち続けるのは
難しいだろう、との事だった。
「でも、七代祟るとかそういうのは?」
「システムというか……
決まり事みたいなものなんじゃねえかなあ」
師に言わせると、
そういうケースはたいてい“呪う側”が、
あの世とくっついている場合が多いのだという。
「死んだ後は俗に言われる、
“49日”で“あちら”に行く。
多分単体で“こちら”で存在し続けるのは、
難しいんじゃないのかな」
恐らく、あちら側とつながりを保ちつつ、
それでも限界を迎えるのが、“七代目”
という事らしい。
そう話した後、師は用事で席を離れた。
その後修行者同士で、
「しかし、古墳とか王家の墓とか古代の呪いも
ありますよね。
あれってどうなんでしょう?」
「有給みたいに溜めて、
使ってなかったんじゃない?」
「煮え切らない呪いですね……」
と、下らない会話に終始したという。





