01「子」【挿絵あり】
・呪いや社会の闇に関する類の話。
『百怪』とは趣が異なりますので注意。
寺で修行する知り合いから聞いた話。
彼が寺にいる時、後輩がどこからか
こんな話を持ってきたという。
ある被害者―――幼い女の子だったそうだが、
『良くないもの』に憑かれ、それを追い出す
ための方法。
“子供を産ませる”
あえてその女の子を妊娠させ、子供を産めば
“祓える”のだという。
どこから聞いてきたのか、調べてきたのか知らないが、
気分の良い話ではない。
「そのやり方はあるだろうな」
その知り合いの師に話したところ、あっさりと
認めたらしい。
古来、日本の宗教観の概念の中に
・それまでの因縁は子が継ぐ。
・女は子を産んだ時に、その因縁を子に全て渡す。
というのがあるそうだ。
「今言うと、ジェンダーとか男尊女卑とか
うるせえから、公に口にしないだけだが」
だから初子というのは重要な意味があり、
またそれが男だと、女よりも因縁の影響を
受けやすいのだという。
「女は、次に引き渡せるからな。
男はそうはいかん」
そう話し終えると、
「中途半端に修行をしているくせに、
そういう事にだけは興味持ちやがって」
と毒づかれたという。





