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百怪  作者: アンミン
百怪・怪異、不可思議
10/300

10「魅入られ」【挿絵あり】

知人の話。


“狐に好かれている”と自称する友人がいた。

運は悪くないというか、かなりの事故に遭っても

カスリ傷だったり、お金が入用の時に臨時収入が

あったり、という程度のものだったらしいが。




そんな彼がある時ツアー旅行に誘われた。

まだ高校を卒業して間もない頃、2泊3日の

それなりに人気のあるツアーだったらしく、

参加者も30名を越えていたという。




若者向けのツアー企画で、異性との出会いを

期待したりと良からぬ動機があった事も確かで、

その目的はそれとなく友人に伝えられていた。




「だったら、

 俺は行かない方がいい」




その友人はそっけなく答えた。

しかし、数は多い方が向こうも警戒しないし、

何より彼はそこそこ顔立ちが良く、いわば

エサとしての役割も期待していたのである。

何とか拝みこまれ参加する事に同意したものの、




「後悔するなよ」




と、捨てセリフのような言葉を残し、

皆はそのツアーの日を待つ事になった。




当日―――

すでにバスの中で異変は起きていた。

ツアーそのものに何か問題があったわけではない。

10代後半から20代後半くらいまでの若者、

30代はいない。

ただ、ツアー参加者が全員







だったという事である。




「ツアーを20年ほどしていますが、

 こんな事態は初めてです……」




添乗員は、呆れたような声で感想を述べた。

女性の比率が少ない、というレベルではない。

全く女性がいないのである。

唯一、その添乗員は女性ではあるが、

少なくとも、彼らの対象年齢ではない事は

確かであった。




「だから言ったのに……」




その後、彼らは2泊3日の旅行を健全に過ごしたという。






挿絵(By みてみん)

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[一言] 女狐さんでしたか…
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