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逃げるけど逃げない!!


「なんでぇ~こうなるのぉぉぉぉ!!!!!」


「おい、待てーーーーー!!!」「奴を取っ捕まえろーーーーーー!!!そして、委員長のことについて問い詰めるのだーーーー!!!」「「「「アイアイサー!!!!」」」」


「ひぇ~~~!!」


放課後、僕は学校の中で大人数の男子に追われていた。帰りのSHR(ショートホームルーム)が終わって、下駄箱に着いた瞬間、クラス外の男子が僕を問い詰めようと玄関に立ち尽くしていたのだ。


僕は、比較的女子の多い人ごみの中をかいくぐって、今は廊下を猛ダッシュで走っていた。いつも頼りになる快士君はというと、もう所属のサッカー部で活動をしているので頼るにも頼れない。


「……はぁはぁ。 走りすぎて疲れてきたよ」


体力温存のためにここは何処かに隠れねば。


「あっ、ここの曲がり角を曲がったら保健室があったはずだ!!」


僕は、次の十字路の廊下を右に曲がり、そのまま、保健室に入り込む。


「おい、曲がったぞーーーー!!!」「こっちだーーーーーー!!!」


ドア越しに大勢の走る足音が遠のいていくのがきこえる。


「ふぅ、なんとか助かったぁ」


僕は、その場にへたり込む。


「このまま、この状況が続くのならVTuber活動をちょっと休んでみようかな」


僕が、活動を辞めたら委員長も僕に落胆して違う人を頼るのかなって考えてしまう。僕以外のバーチャルYouTuberさんを知ったらその人についていくかもしれない。


そんなことを考えていたら、突然ベッド側からバサッと布団が擦れる音がする。もしかして、男子が待ち伏せしてたのかも!!!


「ひぃぃぃ、ごめんなさぁい。 どうか、どうか命だけはぁ~」


僕は手を擦り合わせ、命乞いをした。


「ふぅわぁぁぁ。 私なんか拝んでも何にもでないよぉ~」


「えっ?」


欠伸の後に、ぽわーんとした可愛らしい声がしたので僕は、顔を上げる。すると、ベッドの上には状態だけを起こしたままの、女の子がいた。ダボっとしたパーカーと萌え袖を携えた制服を着ていて、透明感のある色白美肌なのであまり外に出歩かないのが見てわかる。髪はアッシュベージュ系で毛先がゆるくパーマがかけられていた。


「ごめんなさい。 睡眠の邪魔しちゃいましたか?」


「いいよぉ~、気にしないでぇ~。 りんも今から帰らなきゃいけない時間だったみたいだしぃ~」


「そうなんですか。 ならよかったです」


「君なんかワケあり? 追われているのぉ?」


「まぁ、そうなんですよ」


「りんにちょっと話してみてよぉ~。 あっ、りんは、一年A組の夢野りん(ゆめのりん)!よろしくねぇ~」


「えっと、僕は未来光(みきひかる)です。 よろしくお願いしまう。 ん~、そうですね、軽く事情を話しますと――――」


僕は、VTuber活動のことを伏せて、学校のマドンナである委員長が僕が趣味活動をしている姿に憧れていたこと。手伝ってもらいたいと言ってきたこと。それを、みんなが、誤解しちゃっていることをかいつまんで話した。


「ふむふむ、大変だねぇ~」


「それでちょっと、実生活にこんなに影響してくるならその趣味を自粛しちゃおうかなっても考えているんですよ」


「それはだめっ! 先輩でもメッ!ですよぉ」


「えっ……」


さっきまでのゆるゆるな口調よりも少し語気が強くなるのを感じた。


「りんは、嫌いなこと嫌なことはいくらだって逃げていいと思っていますぅ。 けれど、好きなことからは逃げるなんてそんなの悲しいですぅ」


「好きなことから……逃げる?」


「そうだよぉ。 りんもちょっと事情があって今は保健室登校しているの。 けれど、勉強は大好きだし、友達と話すのも楽しいんだよぉ。 だからね、好きな物には自分からどんどん向かって行ってほしいなって……。 それに、光先輩のその姿を好きでいる人、委員長さんだっているんですよぉ。 多分、先輩のその活動をしている姿を待ってますよぉ」


「僕のバーチャルYouTuber姿をファンのみんなや、委員長が待っている(ボソッ」


僕は、りんさんに聞こえない様な声音でそうつぶやく。


僕は実生活でちょっとイレギュラーなことが起きて動揺していたのかもしれない。何を弱気になっているんだ。という考えが出来るようになっていた。


「ありがとう。 僕、もうちょっと頑張ってみるよ! 今僕が辞めたらみんな悲しんじゃうしね」


「そうだよぉ~ ファイト~」


りんさんは、両手でガッツポーズをして僕を激励してくれていた。


「じゃあ、それじゃあ!! 僕、やらなくちゃいけないことがあるから!!」


僕は、今日のコラボ配信をどうしたら、みんなが、僕が楽しめるのかを胸に思い描きながら保健室を後にした。




「あれっ。 いつもの僕なら女の子に対してコミュ障発動するのにしなかったな」


僕は、廊下でりんさんと離れてから疑問を感じてしまっていた。


「なんか、いつも相談しているみたいな感覚で話しやすかったし……。 まぁ、いっか。 今は、目の前の今日のコラボ配信に集中集中!」


僕は、量頬をパンパンと叩いて気合を入れた。





「バイバイ~」


りんさんは、保健室から僕がいなくなってからも何秒間か手を振っていたらしい……。


「ふぅ……。 光先輩なんの趣味かわかんないけど成功すればいいなぁ」


りんさんは、スマートフォンを覗き込む。


「りんも今日のコラボ配信頑張ろうっと……」





「ライト様はどこにいるのでしょうか……」


わたくしは、放課後気がついたらいなくなっていたライト様を探していました。


「放課後に聞きたいことがありましたのに……。 これなら連絡先を朝の段階に交換しておけばよかった……」


わたくしは、がっくしと肩を落とす。


「中学生のか弱いわたくしの心の拠り所であったライト様、今のわたくしがあるのもライト様のおかげ……。 はぁ、ライト様、ライト様と会話がしたいです……」


わたくしは、また、夕日を背に廊下を一人とぼとぼと歩き出しました。


ブクマや評価ありがとうございます。

おかげさまでジャンル別日間ランキング、現実恋愛で7位を獲得することができました。

これからも、日々精進していくので、面白かったら、ブックマークや評価を頂けると嬉しいです。

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