五人の勇者と始めの王国2
一方、高校生組と言えば。
麟太郎は平然とどんな武器も扱える天才。そのフォローを完璧にこなす二条院さん。
回復でサポートする伊織。
こっちはこっちで上手くやっていた。俺以外は。
俺はと言えば、全く役に立ってなかった。
後ろから魔法で牽制するのが役目なのに、近寄られればすぐに気を散らす。運動神経はお察しの通り。
もっぱら城で本を読んでいる。
「全く変わってないな」
愚痴が自然と口からこぼれる。
人の本質は変わらない。全くその通りだ。
コミュニケーションは取れない。運動神経は悪い。あるものと言えば少し出来の良い頭。
ダメダメじゃないか。何がチートだ。ニートの間違いだろう。
「ん?どうしたのかしら、九条君」
目の前で本を広げて座ったのは黒井さん。
この人は変なオーラを出している気がする。ある程度親しそうにしながらも、一定以上に近づくなと言うような。
「いや、何でも無いです……」
本に視線を落とすが、黒井さんからの視線を感じる。
暫く見つめた後、黒井さんが喋りだした。
「そうね。そのままで良いんじゃないかしら?」
え?と顔をあげる。何も言っていないのにアドバイスをされるとは思わなかった。
「高校生組は少し活発だしね。一人ぐらいは緊張感を持っている方が良いんじゃないかしら?」
確かに、三人は危なっかしいところも多い。でも、俺だけで押さえることが出来るのだろうか?
「勿論、体力はつけないとね」
さすがは年上だ。
何でも見えてるみたいだ。
確かに、戦うだけが勇者じゃない。サポートも必要だ。実際、黒井さん達は戦う以外のことで俺達をサポートしている。
俺も、頑張らないと。
あれから三ヶ月後。
黒井さんはこの国を去った。
国王によると本人の意向らしいが、姫様は違うと言っていた。
本当のところは良くわからないが、黒井さんなら案外普通に安住の地をみつけてそうだ。
俺達の関係も進歩した。
俺と伊織が付き合い始めた。それと同時期に麟太郎と陽香さんも付き合い始めた。
姫様は林之助さんが好きらしい。年の差は実に三十数歳である。林之助さんは知らないようだが。
国王は最近暴走しかけている。
俺達を魔族との戦いではなく、人間同士の戦いに投入しようとしたりしている。
姫様によると、元々消去法で王に成ったような人間で、姫様自信もあまり大切にされた記憶が無いらしい。
目についた女を夜に私室に呼びだし一晩を過ごし、飽きたら手切れ金を渡して捨てるような最低の奴だと言われていた。
クーデターの計画も上がっており、姫様を御旗として新政権を作ると言う計画もあるらしい。
姫様は、今一見限る決意が出来ていないと悩んでいた。
そう、俺は知らなかった。
まさか、こんなことになるとは。
え?
短い?
切るタイミングが下手でした。
ごめんなさい。