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プロローグ 些細な幸せの生活。

 お久しぶりです。

 今回こそはエタりません。たぶん。

 ゆっくりほのぼの進んでいく予定なので、一ヶ月に一回更新を確認して頂ければ一話か二話程度進んでいる、と言う状況を目指して頑張ります。

 朝日が顔に当たる。

 眩しさから、自然と目が開く。

 少し痺れる右腕。そこには一人の少女の頭が乗っている。

 すやすやと安らかな顔で眠っているから、起こすのさえ躊躇われてしまう。


「おはよう、メラ。お母さんは朝御飯を作るから、起こすまでもう少し眠っていると良いわ。枕を使っても構わないわよ」


「うにゅ、お母さんと起きる」


 寝起きの舌っ足らずな声でメラが答える。

 メラの銀髪が朝日で輝いている。


「さて、朝はいつもとおなじで良いかしら?」


 メラがこくん、とうなずく。

 ベッドのある寝室の隣がダイニングキッチン。

 住んでいる場所は街から少し離れた森の側の家。結構新築だから良い木の香りが漂っている。

 キッチンに歩いていくと服の裾を摘まんでメラが着いてくる。


「キッチンは危ないから座って待ってなさい」


 小さな体を持ち上げてダイニングの椅子に乗せる。

 そして、カウンターの向こうのキッチンへ。

 冷蔵の魔道具の中から卵を二個とベーコンを取り出す。

 ベーコンをスライスしてフライパンの上に。

 フライパンを加熱の魔道具の上に置いて加熱。

 少しずつ香ばしい香りが漂ってくる。

 ベーコンを裏返して卵を割って入れ、少し水を入れて蓋をする。


「さて、パンを焼かないと」


 トースターの魔道具を机の真ん中に置き、中に食パンを入れる。

 それが終わったぐらいでベーコンエッグが完成する。

 フライ返しで半分に切り、皿に盛り付ける。レタスを乗せて完成。


「さ、食べようか」


 メラの目がさっきより開いている。あと十分ほどで覚醒するだろう。


「「頂きます」」


 二人で向かい合って座り、手を合わせて言う。

 この世界では殆どの人が神に祈りを捧げるからこの方法は街だと結構浮いてしまう。まあ、この家は二人しか居ないから気にならないが。


「おおっと、黄身が付いてるわよ」


 メラがはぐはぐと大きくかじりついたせいで、顔に黄身が付いてしまっている。それを丁寧に拭き取る。

 早々に自分の分を食べ終わってしまうメラ。

 少し笑いながらベーコンエッグの黄身を渡す。

 すると目を輝かせてはぐはぐと食べ始める。


 朝日が完全に昇る。

 森の近くの大きな家。

 リビングにダイニング、キッチンにバスルーム。玄関では靴を脱ぎ、廊下を歩く。

 全てこの世界には無い風習や場所。

 中には新築の木の香りが辺りに漂う。


 ここが私の新天地だ。


 いきなり異世界に呼ばれて勇者にされたのは驚いた。

 しかし、元の世界には私に暴力を振るう親しか居らず、友達も居ない。

 大学を卒業して入った会社でも特にパットすることもなく、毎日のお茶汲み。

 いつか暖かい家庭を、なんて夢はとうの昔に捨てた。

 そんな私がやり直す機会を手に入れた。


 魔道具を思うように作ることができるチート?

 そんなパッとしないチート、すぐに誰も見向きもしなくなった。もっと攻撃のできる勇者が一緒に召喚されたから。


 手切れ金の金貨五十枚を手に街に放り出された。

 街も追い出され、宛もなくさ迷った先に有った大きな村。

 有ったのは沢山の死体。

 居たのはたった一人の少女。

 忌み子と呼ばれ、親にも親戚にも、街の皆に迫害されて、最後に全員を殺さざるを得なかった可愛そうな少女。

 私は無視することが出来ずに、自分の娘として育てることに決めた。


 二人で歩き、国境を越えて隣の国へ。

 警備の衛兵さんに助けられ、勇者だと知られお城へ。

 召喚された国とは大違いの厚待遇で迎えられ、首都の外れの森の近くに私のいった通りの家を建ててくれた。

 お礼にと作った癒しのオベリスクの魔道具。

 それが人々の傷を癒し、聖女とさえ持て囃された。


 結局国の人からは『森の側の癒しの魔導師』と呼ばれ、森の側の小屋に少女と住むことになった。

 まるで夢のような生活。

 伴侶は居ないものの、娘と共に優しい人々に囲まれて暮らす。

 少女に『トロイメライ』と名前をつけ、魔道具を売って生計をたてている。


 これは、そんな夢のような生活のお話。

2018 2/26 サブタイトルを少し修正しました。

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