表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

涙の跡

作者: マコ

あたしの名前はマイ。自分で言うのもなんだけど、いわゆる今どきの女子大生だ。

ルックスは中の中。たまにかわいいと言われるけど、お世辞だと受け止めている。今はコンビニでアルバイトをしてる。点々とバイトを経験してきたけど、やっと落ち着いたって感じだ。


毎日大学に通うのにファッションもメイクも怠らないあたし。通学が片道1時間半かかったって、朝の5時起きだって、オシャレは怠れない。てか、あたしから「それ」が無くなったら生きてる意味がない。あたしには着飾ってメイクして、違う「自分」になることでしか、存在価値を見い出せないんだから。




幼稚園、小学生、中学生…ずっとあたしはいわゆる「おとなしい子」だった。手間のかからない「いい子」だった。

しかし人見知り。プラス無愛想。友達が出来にくい要素を持ち合わせていた。しかし友達がいなかった時はなく自然と友達は出来ていた。友達がいて、家族は優しくて、何不自由ない生活。幸せだった。でもいつからだろう。「神経症」という病気になってしまったのは…。神経症。これは元からの性格が関係しているらしい。神経症という病気になってから、あらゆる心の病を体験した。対人恐怖症・鬱・パニック障害。自ら泥沼にはまって行く感じがした。こんなあたしになったのはいつからなんだろう。 本気で死を考えた時もあったんだ。




中学生の時、あたしはいじめにあった。その頃、あたしは太っていて、その事にコンプレックスをもっていた。太っていて、おとなしいあたしは、いじめられる丁度良い対象だった。

目にはわからないいじめ。影であたしのことを「デブ」「ブサイク」などと言っている声が聞こえる。特に男子の陰口が多かった。

それからだろう。あたしが、視線恐怖症・男性恐怖症になったのは。

視線恐怖症は回りの人が自分のことを変な目で見てるんじゃないかと気になったり、自分の表情・声が相手に変に感じさせていないか…とモヤモヤ感じて、考えてしまうものだ。

自分の性格を恨んだ。自分が嫌いで、嫌いでいなくなればどんだけ楽だろうと思った。

心の病は自分との戦い。他の人にはわからない。あたしは自分が、心の病だということを隠し通した。信頼している親にさえ。




男子恐怖症のあたしは迷わず女子高に入学した。

高校に入学してからはずっと順調だった。

こんなに男子のいない生活は楽なんだ…。毎日が楽しかったんだ。

「マイって彼氏とかいないの?」


いるわけないじゃん。あたしなんかに彼氏が出来るわけがない。


「あんまり男に興味ないんだよね〜。」


みんな彼氏が欲しいお年頃。もちろんあたしも男子を意識していなかったわけではない。ただ、自信がなかった。自分なんか…いつも心にそれが引っ掛かってた。


高校の3年間はあっという間に過ぎ、これといった夢のないあたしは大学に行くことにした。


大学に入ってからだろう。自分に急激な変化が起こった。


大学に入学した瞬間にあたしは変身した。

髪を染め、メイクしてがんばって着飾った。

そう。大学デビュー。今まで「地味ーず」だったあたしは変わった。もともとオシャレは好きだった。でも自分に自信がなかったから。

大学は今までのあたしを知ってる人はいない。変身するチャンスだ。


あたしは外見だけは「かわいい女の子」になれた。それだけで満足だった。


でも中身はそう簡単には変われない。根っからの「変わり者」だ。



天然キャラを演じているわけでもなく、頭が特別悪いわけでもない。なのになぜか「変わり者」と称される。

自分は自分。そう言って聞かせるけど、たまに自分がわからなくなる。

人が怖い。理由はわからない。無償に逃げ出したくなる時がある。

外見が変わって自信がついた。でも同時に自意識過剰になっていたのかもしれない。

自意識過剰は自信のなさの裏返し。

やっぱり外見が変わっても中身は簡単には変われないんだ。




でもそんなあたしにも彼氏が出来た。木村ヒロ。バイト先の2個上の先輩。

あたしの指導係をしてくれていた。

指導してくれていたヒロは優しくて、あたしは少しヒロのことが気になり始めていた。

その頃には男性恐怖症の症状は少し良くなり、ヒロとは普通に会話出来た。


「今日は木村さんと一緒のシフトだ!やった!!」

心の中でいつもそんなことも感じるほどだった。





ヒロはあたしのことをずっと好きでいてくれたみたいだ。

それに気づいたのはあたしがバイトを辞める時、

「マイちゃん、メアド教えてくれる…?」





すごく嬉しかった。

そこから付き合うまでは時間はかからなかった。




ヒロにあたしの好きな所を聞いた。

答えは「顔」。


「あたし、そんなに可愛くないよ…。」



「可愛いよ。顔も性格も。でも、マイは何にたいしても少し考えすぎる所がある。そこは治した方が良いかな。マイはいい子なんだから。」



いい子。誉められたのは嬉しいけど、もうその言葉はいらない。

いつも人に合わせて、顔色伺って。だから、いい子なんだ。



本当にいい子なんかじゃないよ。





人は日々変わる。いろんな情報を受けて日々成長する。



いつか、外見に負けないくらい、変身したい。

自分に自信が付いて、心も安定すれば、きっと何事もうまく行く。

神様は見ていてくれる。




幸せは逃げない。

きっと待っていてくれる…。


** END **


この物語は少し変更はありますが私自信のことを書いたものです。自分の中で苦難が多く、苦しいかったので、小説にすることで何か得られないかと思って書いてみました。

これを読んで何か感じてくださったら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 一つでも自分に自信を持つ事がとっても大切な事だと思います。過去の体験も必ず自分の将来にプラスになる筈ですよ。毎日を楽しく有意義に過ごせるよう祈っております。これを読んでみて私にとっても励みに…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ