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なんだ、結局一緒かよ……


グリズリーとの交戦が激しさを増す中、ルウは数人の子供たちと共に集落の倉庫に隠れていた。

ルウは集落の子供の中では最年長。その自覚と責任感から見回りについていったり、子供たちをまとめたりと大人達にまじり動いていたが本当の危機的状況になった今、何もできない自分に無力を感じていた。


バンッ


俺は勢いよく倉庫の扉を開ける。


「キド様……?」


扉の音に少し怯えながら恐る恐るルウが物陰から顔をのぞかせた。


「ルウか?ここにバケツはないのか?」

「はい?」


ルウが顔をしかめながら聞き返す。

「水を汲むためのバケツだよ?あと、水も」


俺は頭をかきながら必死で伝えたい言葉を探す。


「バケツならそこにいくつか、あと水に関しては井戸に貯水したのがありますけど」



「あのキド様!いったい何をするおつもりですか?」

「え?何って?」

がら答えた。



ボウガンが破壊された中、グルド族の民たちは動ける者たちだけで応戦していた。そこには普段戦闘には参加することのないグルドの女性たちも武器もっている姿があった。

しかし敵の攻撃にどんどん人数は減っていきもう戦える人数も多くなくオッズ達は窮地に立たされていた。


状況どうだ?

「あ、はい。


一面には水浸しになった地面がある、


クソッ、本当に寒い。


だがこれなら、十分だろ


俺は水浸しの地面に触れる。


先程まで濡れていた地面はほんの数分で固まるとそのまま氷の床へと変わる。


振りぬいた棍棒は矢をさらに奥へと突き刺した。刺さってる場所から大量の血が滲み出始める。

それと同時に俺は大きな爪に弾き飛ばされた。

グリズリーは俺を、弾き飛ばすとそのまま倒れこみ動かなくなった……

しばらく静寂が辺りを包み込む。


ウオォォォォォ!


その静寂を怒号のような歓声が切り裂いた。

思わず拳を掲げるもの、腰が抜けてその場で座り込もの、嬉しさのあまり抱き合うもの、それぞれが自分なりの喜びを表している。

そしてその光景は野球で活躍した時に見る光景とと同じものに思えた。


「なんだ、結局一緒かよ……」

俺はその歓声を噛みしめるとともにゆっくりと意識を失っていった。



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