怪しいものではありません
※少し修正入れました
「……はい?」
目の前の光景を見て俺は唯々混乱していた。
それもそのはず、昨日は家のベッドで寝ていたはずなのに目覚めると、何故か雪山に放り出されてるのだから。
初めは夢かと思ったが半身半裸……つまりパンツ一丁の格好に時折吹く冷たい風が鞭を打ちそれは違うと知らせている。
――なぜこんな状況に……そしてなぜこんな格好になっているんだ……俺は昨日のこと整理しながらも少しずつ心を落ち着かせていく……
確か昨日の夜、俺は甲子園に出場していたことで出来ていなかった夏休みの宿題をやっていた。
顧問の教師は決して無理はしなくていいと言っていたが、常に完璧を目指す俺がやらないわけがない。
時間をかけて全ての課題をやり終えた俺は寝る前の日課の筋トレをして汗を流した後、風呂に入りそのまま眠りについた、そして目覚めたら雪山で寝ていたということか……
……どういうことなんだ。
どう考えてもこんな状況にはならないだろ。
「……まあ、こんなところで立ち止まってても仕方がない、か。」
俺はいまだに戸惑いつつも辺りをふらついてみることにした。
――こんな格好で雪山歩くとかただの変態だな…人に出会ったらなんて答えよう…
半裸の体を手でさすり、そんなことを考えながら辺りを見渡し歩いていく……
周りは雪の積もった草木で覆われ、そこからウサギや鳥と言った雪山に生息しているような動物たちがたまに顔をのぞかせている。
とりあえず現在真夏日よりの日本でないことは確かだ。俺は物珍しさに動物たちを観察しながら山を登っていく。
するとふと異変気づいた。
初めは普通のウサギだと思っていたがよく見ると目が一つしかない。飛んでいる鳥は聞いたこともない声で鳴き、たまに口から氷を吐き出している。
そしてその姿形はまるで漫画やアニメに出てくる異世界のモンスターのような……
……いやいや
……いやいやいや
「……いやいやいやいや…ってそんなわけねぇぇぇだろぉぉぉぉ!」
受け入れたくない現実を前に思わず頭を抱えて大声で叫んだ。
「異世界転移なんてそんな漫画やアニメのような話があってたまるかぁぁぁぁ!だいたい異世界なんてなぁーー」
「お父さん!あそこでパンツ一丁で騒いでる人が!!」
「へ?」
俺が騒いでると、どこからともなく少女の声が聞こえると、それにつられて毛皮のマントをはおり、顔には異民族のようなペイントを入れた褐色肌の屈強な男たちが集まってきた。
「グリズリーが来ていないか見回りに来ていたらまさかこんなところで変態に出会うとは、嫁入り前の娘になんてもん見せんだ!」
男たちは俺を囲むと弓や槍をこちらに向けて構えてきた。
「ちょちょっ、ちょっとストップ!ストーップ!!俺は別に怪しいもんじゃあ……」
慌てて取り繕おうとした瞬間、ふと少し前に考えていたことが脳裏をよぎる。
――こんな格好で雪山歩くとかただの変態だな…
…………
「…え~と、俺は怪しいもんじゃないんです……やらしいもんではありますけどね。」
俺は素直に連行されていった
思った以上に書くのに時間がかかりました。
とりあえず目標は1日1個で頑張ります




