クソッやられた!
「やっとここまで戻ってきましたね、しかし随分と奥まで来ちゃってたんですね……」
アルが辺りを見回してポツリと呟いた。オルメニクスに襲われて無我夢中で走っていたが俺はどうやら出入口とは逆方向に走っていたようだ、そして歩いて約1時間、俺たちはやっと小川付近まで戻ってきた。
「仕方ないだろ、必死で逃げてたからな……」
「いえ、別に責めているわけではないです……て言うか責められるわけがないです。ただ……」
アルが横目に地面についた傷跡を見る、それは本の少し前にここで何があったのかを思い出させるものだ。
「森を出るまでは慎重にな……」
「はい!」
俺たちは少しでも姿を隠すため道なりから外れた草木の生えたとこを歩き始めた。
出入口に向かって歩いてどれくらいたっただろう……少しずつだが日が傾いてきたのがわかる。だが俺たちは焦ることなくひたすら道のない道を歩いていく……
そしてやっと光が大きく差し込んでる場所を見つける
――やっと戻ってこれた
俺たちは嬉しさで笑顔を取り戻すと草木の生えたとこから道に出る。
アルが駆け足で出入口に向かって走っていく。
が、その時、俺たちの出てきたとこから逆方向の草木の影から大きな影がうごめいた。
「危ない!!」
「え?」
俺は叫ぶど同時にアルの方へ飛び出す。
そして影から出てきた大きな鎌からアルを逃がすため突き飛ばす。
「キドさん!!」
突き飛ばされたアルがこちらに振り向き叫ぶ
……
――危なかった…
間一髪のところで俺は地面に落ちてた小石を拾い、マジックリングを使いグルドで念のため貰っていたボウガンの矢と取り換えてそれを盾にした。
四次元の袋だからと大きい物まで適当にどんどん詰め込んでいたがよもや役に立つ時が来るとは思わなかった。
俺はすぐさまオルメニクスから距離をとり閃光弾を放つと草木に隠れてオルメニクスの出方を伺う。
……しかしオルメニクスは俺達を探そうとせず。視界が見えるようになると出入口の方へと向かっていった。
――クソッやられた!
完全に出入口を塞がれてしまっていた。
やつは俺達がここを通るのを知っているかのようだった。多分一度冒険者を襲った際にここを通るを見ていたんだろう。
「ど、どうしましょう……このままでは帰れません」
再びアルが涙目になる。
――……
俺は今までのオルメニクスとの戦いで得たデータとアルから教えてもらった生態情報からひたすら突破口を考える。
まず、オルメニクスには閃光弾は効果的だった、もう一度くらわせてその間に出入口を通るか?
――ダメだ、確かあいつには音を感知する触覚があるんだった。
なら俺が囮になる間にアルだけ逃がして助けを求めるか?
――ダメた、リスクが高すぎる。それにやつが俺に気を取られなかったらアルに危険がいく……
草木の道から抜け出すか?
――足場が悪くて追い付かれたら逃げられない。
――逃げること関しては絶望的だ。
ならどうする?倒すのか?確か体は鋼のように硬かったはず……
もう少しデータがほしい。
俺は怯え震えてるアルの両肩を叩きオルメニクスについて問いかける
「なあアル、オルメニクスの弱点とかないのか!?あと他に役に立ちそうな情報は……」
アルは我にかえると涙を浮かべ語り始める
「知ってる情報では弱点と言えるものはありません……オルメニクスは全てが鋼のように硬いのです。ただ色の識別する機能が目についておらず視界の見える距離が短いとか……」
――その言葉に俺は焦り始める、ただアルはそのまま話を続け始めた
「……確かに体は硬いですがもしかしたら1つだけ脆いところがあるかもしれません」
「ほんとか!!どこだそれは!!」
アルの言葉に俺は興奮しながら問い詰める
「体内です……これはあくまで推測なので確証はないのですがオルメニクスは外部が硬く発達して、口についてる刃のような歯のおかげで内部は危険が侵される事が少ないため発達はしてないと思われます」
――内部か……
俺は内部にダメージを与えられそうなアイテムを袋から探す。そしてさっき使った毒よりも更に強力な毒を取り出した。
「これならどうだ?かなり強力な毒なんだが……」
「毒は効かないと思います。オルメニクス自身が体内に毒を持ってるので免疫力がついてるはずです。」
「ちっ!!」
俺は舌打ちして更に袋の中から使えそうなものを片っ端から取り出す。
――閃光弾に煙りだまに火炎瓶
やり方次第では大打撃を与えられそうだが体内に入れるまでにあの口で粉々にされてしまう。
なんとか体内に入れる方法はないか考える……
…………
――やってみるか……
俺は火炎瓶と煙りだまを手に取り、アルに考えたこの現状を打破するための一かの提案する……