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想定内だ

新章始まります。

カタンコトンッ

馬車の荷車に乗り体を揺らしながら俺はグルドナの北にある町、エポルカへと向かっている


この異世界に飛ばされてから約1か月。

俺はこの一ヶ月間オッズの家に居候し、アイテムの使い方やこの世界の情報収集にいそしんでいた。

ただで住まわせてもらうのは悪いと思い手伝いをしようとするが、壊滅的なスキルのせいで足手まといになるためおとなしく居候していた。

おかげで大分この世界でやっていける算段はついた。

どうやらスキルが装備に影響するのは武器だけで防具やアクセサリーなどに関してはあまり影響はないらしい

集落からかき集めたアイテムは簡単に手に入るものからレアなものまであり

その中でも特に際立ったのがレアイテム、マジックトートとマジックリングだ。

マジックトートは一見みればただの袋なのだが、実は中が4次元になっており中に入れれるアイテムはほぼ無制限、某アニメに出てくるポケットみたいなものだ。


そしてもう一つのアイテム、マジックリングは体に身に着けていると自分が手にしているものと袋に閉まってあるアイテムを瞬時に取り換えることができる。

この2つを組み合わせがあれば様々な活用ができる。


俺は荷車のなかで再度アイテムの確認と今後の予定を確認をしていると目的地のエポルカが見えてきた。入り口の門を通るとそこには大きな街並みが広がっていた。


町の入り口に到着すると忘れ物の確認をし、荷車から降りる。

「俺はこのまま行商の売り場へ行ってくるからここで別れだな」

「ああ、町まで乗せてもらって悪かったな」

「なあに、ついでだからな、グリズリー倒してくれてありがとな、あんたに女神のご加護がりますように……」


――……そんなもんはいらん


荷車に乗せてくれた顔なじみのグルドの行商人に別れを告げるとそのままギルドへと向かう。

この町は中心にある大きな広場を基準に住宅エリア商業エリア、門前エリア、そしてギルドエリアと区分けされている。

俺は町の最奥部、広場の北側にあるギルドを目指し歩き始めた。

町を普通に歩いているだけでも周りの人たちにに横目で見られているのがわかる、ただこれは想定内だ。

だからあまり気にしていない


――着いた


目的地のギルドにたどり着くと中から騒ぎ声や笑い声が聞こえてくる。

なんでも酒場とも併用しているらしい

俺はその入り口の扉を開くと自然とこちらに注目が集まった。

そして俺の顔を見るや、騒がしかった喧騒が静まり始めると少しずつ周囲がざわつき始める


「おい、あれみろよ……」

「あいつ……」

「ああ、まちがいねえ……」


「すっごいブサイクだ!」


まるで有名な強者でも入ってきたかのように物言いで俺の顔は罵倒されていく……

しかしこれも想定内だ。荒くれもの集うこの建物で俺のを顔を弄られないわけがない。

ただこんな物言いで言われるとは思っていなかったが。


俺は周りの声を無視していきそのまま奥のギルドの受けつけの所へ行く


「いらっしゃいませ、今日はどのようなご用件でしょう?」

赤い髪を背中まで伸ばし豊満な胸が目立つメガネをかけた受付嬢は俺の顔を見てもニッコリと笑顔で返してきた。


――やはり経験が違うのか

俺は久々の女性からのまともな対応に少し頬を緩ませそうになるが我慢し、要件に入っていった


「ギルドに登録したいのですが」

「冒険者登録ですね、わかりました。ではここに名前と……あと、ステータスカードとスキルカードの提示をお願いします。」

名前を書きカードを提示する。

「ええと……キド様ですね、得意スキルはと……」

笑顔で対応していた受付嬢だがスキルカードをを見た途端みるみると表情が変わっていく。

いろんな人の顔を見てきた受付嬢でもこんなスキルは見たことないのだろう。


――大丈夫、想定内だ


受付嬢はためらいながら話しを切り出した


「あの……すみません……大変申し上げにくいのですが……」

「なんでしょう?」

「すごく……ブサイクですね……」

――だったらいうんじゃねーよ!

話の流れからの唐突な罵倒に思わず声が出そうになる。想定外だ。


俺は忘れていたが今、俺の顔は呪いまがいの魔法でこうなっているんだった

別に思ってもいなくても思わずブサイクと言ってしまうという無性に腹が立つ魔法だ。


「申し訳ございません、言い間違えました」


――うん、大丈夫あんたが悪いのじゃない、悪いのはこの世界の女神だ


「改めて申し上げますが……すみません、キド様のスキルなのですがその……オールGとになっておりまして

ギルド側としてはこのようなスキルでは危険な仕事を任せることはできません……」


「オールG」その言葉が他の冒険者たちの耳に入ったのか周囲がざわつきはじめた。中には嘲笑もちらほら聞こえる


「オールGってマジかよ⁉」

受付嬢と話をしていた俺の後ろから突然声が聞こえ振り向くと

3人組の男達が割って入ってきた。そして真ん中にいた金髪のいかにもチャラそうな短髪男がいきなり受付嬢が持っている俺のスキルカードを取り上げた


「ウ、ウイグル様⁉」

「ハハハマジじゃねーか初めて見たぜオールGなんて」

あわてる受付嬢を無視してウイグルと呼ばれた男は皆に見せびらかすかのようにカードを上に掲げた


「剣も打撃も魔法もGGG、よくこんなスキルで冒険者になろうと思ったなぁポンコツ!」

ウイグルは俺を指さし周りに聞こえるように大声で罵倒し始めた。

「いいか?ギルドってのはモンスター討伐や、依頼者の護衛と言った戦闘に長けた奴らが来る場所だ。

お前みたいな顔もスキルもゴミ同然のやつが来るところじゃねーんだよ!わかったら邪魔だからとっとと出て行って奴隷でもしてろ、この身の程知らずが!」

そういうと男は俺を突き飛ばし受付嬢に話しかける。

「ミレイちゃ~ん、早速だけど俺達にあった討伐クエスト見繕ってよ」

「あ、でも先ほどのお客様とのお話がまだ……」

ミレイと呼ばれた受付嬢がこちらを心配そうに見ている

「あんな屑、放っておけばいいんだよ、どうせ登録させないんだろ?」

「あ、でも……」

そんなやり取りをしているところを遮るように話しかける

「あの、ミレイさん……でしたっけ?」

「はい?」

「質問なんですけど、この男も冒険者なのですか?」

俺はウイグルを指さし質問する。


「はい……ウイグルさんはギルドランクCのれっきとした冒険者ですけど……」

「ならこの男と決闘で勝ったら冒険者として認めてくれますか?」

その言葉にウイグルが食いつく。


「ハハハ、ポンコツが俺に決闘で勝つだと?笑わせるな!」

笑い声もあげてはいるもののウイグルは怒ってるのがわかる

「で?どうなんですか?」

「え……はい、確かにウイグルさんに勝てるほどなら十分仕事を任せられます」

その言葉を聞くと俺はウイグルの方に指をさして言った


「ということなので、是非このポンコツと戦ってください」

「……上等だ、完膚なきまでに叩き潰して奴隷としてしか価値がないようにしてやるよ」


戦いが決まり周り騒ぎ始めるなか心のなかで呟いた


――ウイグルとの戦い……想定内だ。







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