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三回目に起こるイレギュラー  作者: Dark Revenger
一章:憧れの異世界が効率レベリングの場に変わるまで
9/50

第九話:とりあえず奴隷になってくれ

 予約投稿が出来てなかったみたいです。申し訳ありません。

「知らない天……いや、空」

「クゥクゥ」

わさわさ


 水分不足故に朦朧としながらも引き行く眠気によって瞳を開いた俺が最初に認識したのはサファイアのように綺麗な蒼空とイルトミルジスの可愛らしい鳴き声、それとウラガットのわさわさという感情表現らしき貧乏揺すりの響きであった。


「あ、眼を覚ましたね錦君」


 次の情報は我が友ルカリオンの言葉と全身だった。ちくしょう、相変わらず緑のワンピースが似合うな……


「おう、おはようルカリオン」

「うん、おはよう錦君」


 その笑顔に一瞬ドキッとしたのは内緒の方向で。妖精に心見る特徴とか無くてよかった……


「ところで俺の荷物はどこだ? さっきから喉が渇いて仕方ないんだけど……」


 クゥクゥと可愛らしく擦り寄ってくるイルトミルジスをナデナデしながらルカリオンに訊ねる。お~い、お茶が飲みたい。


「あ、ちょっと待ってね」


 うんしょ、うんしょ、とどう見ても男の娘には見えないのに一々可愛らしい仕草で荷物を運んでくれるルカリオン。ショタ好きなお姉さんとかに会わせちゃダメだな。お姉さんが萌え死ぬ。


「はい、これ」

「ん、サンキュー」


 下らない事を考えられるのは平和な証。俺はルカリオンから肩掛けを受け取ってお~い、お茶を取り出し喉の渇きを潤す。


「で、どうなった? ルカリオンがここにいるって事はある程度状況が進んだと見えるけど」


 同級生と教師の前で眠りに落ちたのだから看病しているとしたらそのどちらかの筈。しかし、実際に看病していたのはルカリオンだ。つまりあのモンスターの群れ騒動後に妖精が動くような出来事があった訳だ。一応参謀として聞いておかねばなるまい。


「う~ん、それはボクだけじゃ話せないかな。待ってて、今大谷さん達呼んで来るから」

「チッ、分かった」

「なんで舌打ちするのさ?」


 そりゃあんなムサイおっさんやただの同級生を連れてくる気だからだろ。今でこそ精神力で抑えているけど、最初の人生と二回目の人生の半ばまではヒトアレルギーだったんだぞ。いやマジで。


 そもそも、俺は友人たるルカリオンと話をしたい。


「起きたか伊能」

「大丈夫か伊能?」


 どうやら近くにいたみたいで、ヒトアレルギー時代の寒気を思い出しきる前に六人の人間がこっちに来た。


「大丈夫じゃないんじゃないか? 頭が」

「そうだね」

「よし、それじゃあ何があったか教えてくれ」


 稲田とお決まりのやり取りをしてから質疑応答に入る。


「教えてくれって頼みたいのはこっちだ伊能。モンスターらしき死骸が惨憺たる様子で散乱しているは、あの魔獣? とかいう化け物達が何故か友好的になっていたり……」


 おろ? ルカリオンは魔獣がひれ伏す法則を教えてなかったのか?

 ちらりとルカリオンを見ると困ったように眼を逸らされた。


 なるほど。本来なら会議が終わってから伝えるはずだった魔獣に関する情報はゴブリン共の襲撃によって伝えるタイミングが掴めなかった訳か。


 しゃあねえ、俺が教えてやるか。


「モンスターの死骸は俺が狂ったからで、魔獣の群れは俺のロマンだ」

『『『は?』』』


 間違えた。


「ゴブリンの群れと俺が戦ってたのは分かるだろ? あの後別のモンスターの群れも来やがって、あのままだと危険だったから俺が昔好きだった多重人格ごっこの弊害に任せた結果があの死骸だよ」

「いや多重人格ごっこって何だよ」


 男リーダーの一人にツッコまれたけど無視。


「で、友好的な魔獣は俺がテイムした。イルトミルジスとウラガットを見れば俺がテイムのやり方を知ったっつうのは分かるだろ? 言っておくけどジャイアント・センチピードは渡さない。アレは俺のソウルだ」

「いやイルトミルジスとかウラガットとかジャイアント・センチピードとか言われても訳わかんないわよ」


 リーダーの一人にツッコまれた。む、そういえば名前をつけたの忘れてたな。ジャイアント・センチピードは勝手につけた種族名だけど。つうか記憶力良いな。


「イルトミルジスはアルミラージでウラガットはじんめんじゅだ。どっちも俺がテイムしただろ? ジャイアント・センチピードは魔獣共の中にいるムカデの魔獣だ」


 今の説明で理解したらしい。一同首を縦に振る。


「それじゃ、あの妖精達についても説明してもらえないかしら?」

「あん? んなこと……そこにいる妖精に聞け」


 なんだってそんな質問を……いや待てまさか!


「大丈夫、ここにいる子達は事情を知っているから」


 あぁ……こ、のッ! 馬鹿! 話しやがったのか!


「それも含めて説明してもらおうか、伊能。なんで黙って一人でやろうとした?」


 チッ……


「そんなもん決まってんだろ。『勇者』から身を守るため、『魔王』をぶっ倒すための戦力と捨て駒を用意するためだ」


 それもこれも全ておじゃんだけどなー、ともはや投げやりになった俺は若干ルカリオンに恨めがましい視線を送りながら脱力した。もうどうにでもなりやがれコンチクショウ。


 と、思ったら再び訪れる不思議そうな表情の群れ。


「は? 勇者? 魔王? 何言ってんだ?」

「ルカリオン! 事情を教えたんじゃ無かったのかよ!?」

「ご、ごめん! 錦君の看病をさせてもらうために『勇者』と『魔王』以外の事情を教えたんだ」


 ガァ!? つまり俺は勘違いで言わなくても良い余計な事をくっちゃべったって訳か!? ああもう、なんでよりにもよってこの話題かなぁクソッ!


「伊能、何か隠してる?」


 稲田が不振なものでも見るかのような目で尋ねてくる。

 うう……身から出た錆って恐ろしい。


「はぁぁぁぁぁぁ……分かった。話す」


 覚悟を決めた俺の雰囲気に当てられて表情を真面目に変えるリーダー四人と教師二人。オロオロしたルカリオンは可愛いので清涼剤として見つめながら語ろう。


 俺が『勇者』に狙われ『魔王』を倒す役目を負ってしまった。なんて話をしたらこいつらは何を思うだろうか。やはり俺を排斥したがるだろうか。それとも同級生のよしみで手助けしてくれるだろうか。

 どちらにしろ、既に手遅れだろうけど。人ってのは一度隠し事をした相手にはとことん厳しくなるからな。こんな重大な秘密を隠していた俺なんて、表面上は憐れんで協力していてもいざとなれば簡単に見捨てるだろう。

 しかし、俺は決めた。こいつらに話すと。

 例えその結果、俺が見捨てられようと……


「どうやら……俺のご先祖様には悪魔がいるらしくてな。この世界の勇者はその血を絶やすため、魔王はその秘められた力を手に入れんがため、俺を狙っているそうだ」


 まあ作家の俺は嘘八百も得意で人生をやり直している半中二病の俺は演技力も高い訳だけど。

 誰が真実なんて話すか、ば~かば~か。


 真面目な話、どこに『魔王』やよからぬ考えを持つ者の目があるか分からないような場所でそんな大切な話なんてするか。世界から直接守護されているルカリオン達『妖精』が沢山いる場とは違うんだ。


「それで、ルカリオン達の神様とやらは不憫に思ったらしく、せめて力を得る為の知識を授けに来たらしい。で、俺は皆と離れていた時に偶然ルカリオン達と遭遇して事情を知った。だけど現代日本の腑抜けた奴らが素直に聞いても俺を見捨てるだけで終わるし見捨てないような良いヤツは俺の事情で死ぬ。だったら最初から嘘の物語でこれからを誘導し、自然に戦力を蓄えようとしたんだ」


 よくもまあ即興でここまでの嘘が吐けるな、俺。最初の人生の俺が今の俺を見たら素直に羨ましがるだろうなぁ。あの頃は初対面の人と向かい合うだけで酷く緊張していたからな。ここまでの胆力を持つのに苦労したぜ。


「さあさあ、事情は話したぞ愚図共。テメエラは妖精と一緒に好きなだけ魔獣を殺して『ジョブ』のレベルを上げて、さっさと『転送士』の力で日本に帰っちまえ。俺は俺の捨て駒にならないような奴なんざ仲間にしないからクラスメイトは見捨てないだの生徒は見捨てないだの、その場の空気で簡単に言えるようなセリフはいらねえぜ」


 仲間云々は嘘だけどな。俺の仲間はいつだって友人に家族に配下だけ。捨て駒に使うようなヤツなんざ最初っから仲間じゃねえ。


 最後に今までの鬱憤を掃うように罵詈雑言でも放ってやろうかと(もう放っているけど)腰を上げかけたところで、場に変化があった。


「私はっ……その、えと、捨て駒に、なっても良い……よ」


 その言葉を発したのは、リーダーの内『裁縫士』と『薬士』を女子にしてくれと要求した大人しそうな女子だった。

 うん? 何故にここでそのセリフが出てくるかな?


 まあ、どっちにしろ。


「あんたさん一人が捨て駒になったところで『勇者』や『魔王』には歯が起たない。むしろ足を引っ張るだけだ」


 拒絶するには変わりない。


 しかし、明確な拒絶の意思を受けてもその女子は止まらなかった。


「そ、それなら、その……な、慰みに使っても……」

「女が簡単にそういう事を言うんじゃねえ。それにお前は俺の好みじゃない」

「な、なら身の回りのお世話とか……」

「俺の料理の腕はプロ並みだし掃除は逆にノー免疫で花粉症を悪化させるほどに潔癖な空間を生み出すレベル。洗濯だってキャラ絵付きを毎日着ても常に清潔な状態でいられるほどだ。お前にそれが出来るか?」

「だ、だったら、強くなる。それに、便利な、えと、『ジョブ』になっても……」

「……さっきから、何で俺に着いてきたがる? 俺、お前とはほとんど面識無かった筈だよな?」


 いくら拒絶しても食いついてくる女子リーダーの理由が知りたくなり、そろそろ感じ始めた苛立ちと共に疑問をぶつける。ていうか、あんたさんもう特定のジョブ得たでしょうに。


 女子リーダーは、何故か嬉しそうな表情を作った。一部感謝が混じっていたっつうことは理由を説明する事で俺が頷くはず……とでも思っているのかもしれない。


「だって、私達は、皆助けてもらったから」


 聞いてみればなんて事も無い。ただのチョロインだった。

 だけど周囲はそう思わなかったようだ。何故かハッとした顔で俺と女リーダーから眼を逸らした。ルカリオンだけが俺を見てくれている。


「あの兎の時も、動く木の時も、緑色をした子供みたいな化け物の時も、いつだって助けてくれたのは伊能君、だもん。それに、あの後見たたくさんの化け物からも守ってくれた」

「そりゃやらなきゃ俺も死にそうだったし。実際に守ってたのはイルトミルジスとウラガットの筈だ」


 アルミラージ戦では俺の専科のヤツがいたから寝覚めが悪いだけだったし、じんめんじゅ戦は攻撃をしかけたのはこっちだから戦って当然だ。ゴブリン戦だっていくつかヘイト管理が間に合わなくて流れていたから、守ったというならば防御に専念させたイルトミルジスとウラガットだろう。ゴブリン共はともかく、その他の魔獣は完全に俺が戦いを挑んでいった形だし。


「でも、それでも、私達は死んでない」

「だからなんだ。結果的に死んでねえだけだろ。相手がオーガの群れやとんでもない数のワームとかだったらお前らなんざさっさと捨てて逃げてただろうな」


 守る意思が無ければ、守ったとは言わない。現時点ではイルトミルジスとウラガットとルカリオン、それと配下の妖精達だけが俺の守る対象。名前もろくに覚えられねえようなコミュニティなんざ、例え同郷人だとしても守る価値は無い。

 打算で守れば、そこに対価が発生する。コイツラは俺に対する何かを払うことが出来ねえ。そうなれば勝手に守られたせいでコイツラは余計な負債を抱える事になる。別に同情はしないどころか使い道があれば喜んで使うけど、今のところ無駄な荷物を抱える事になる。職業と性格柄体裁を気にするような身でも無いけど、筋は通さなきゃならない。だったら俺はコイツラを守ってないしこれからも守


「私た……私は、命の恩に報いる、必要がある」


 るつもりは……


 ……あ? んだと?


「……お前、実は俺の小説読んだことあるだろ?」

「え……えと、うん、その、伊能君の……クミオエット・J・エベミス先生の作品は、全部読んでます」


 ……はぁ…………こりゃ、ダメだな。


「狙ってやったとしたら、お前相当性格悪いな」

「え、その、そういうわけじゃ……」


 うん、どう聞いてもその場の勢いで言ったんだろうけども。

 だけど、俺はそれを言われてしまえば……もっと掘り下げて言えば『俺が守ったから』という勘違いや『俺が動いたから死ななかった』という結果論からくる理由ではなく『俺に命を救われた』という別の視点から見た理由を言われてしまえば、もう断れない。


 何故なら、命の対価は『世界』が実在すると聞いた『世界を知る者』である俺にとってとてつもなく重い物であるから。


「わあったよ。俺が……いや、この『世界』が認める基準で命の対価となる仕事をしてもらう」


 チッ、ったくよぉ、俺の作品……いや、もはや子供で俺を脅すなんて、まったくもって卑怯な真似をしやがって。

 俺の小説の主人公達は、大抵が筋を曲げるのが嫌いだ。

 それは何も綺麗サッパリな正義漢という意味じゃない。どちらかといえば悪党気質な連中だ。彼らはただ、己の倫理観や矜持、独特な理論や価値観。その全てを曲げずに貫き通しているだけ。それだけで小説の主人公足りえていると言っても過言ではない。


 その性質は、元を辿れば俺が拗らせた捻くれた中二病に帰結する訳で……


「ただし、扱いは奴隷も同然だ。売春やれ、とは言わないけど現代日本では同じレベルで扱われる事をやらせるかもしれねえから覚悟しておけよ。言っておくけど俺に対してやっぱりやめますは通じねえからな」


 捻れ狂っている俺ですら、自分で決めた俺ルールに縛られる事となるのだ。


 自分で言うのもなんだけど、面倒くさい奴……


「は、はい!」


 女リーダーにしては大きめな声で言葉が返ってきた。やれやれ、これから起こる(かもしれない)地獄を知らないで……


「そういうことなら、俺たちも伊能の奴隷にならなくちゃな?」


 オイ大谷先生。余計な事を言うんじゃ……

 待てよ。この流れで同級生及び教師全員を従属化させれば、あるいは本筋のシナリオより良い結果になるんじゃないか? 何しろ従属化だ。俺の奴隷になるんだ。しかも好きにカスタマイズ出来る兵士だ。言うなればスパロボ状態。旨く操ればほぼ負けの無い集団の出来上がりじゃねーか?

 おお、なんか凄く良いアイディアだ。


「そう、だな……まあ守った守ってないも所詮建前上だし、命の恩を返す為に、ってんなら俺は断れねえ。ただし、なってもらうからには同級生全員巻き込めよ。一人でも違う条件だと作戦が狂ったりするからな」


 ここは乗っからせてもらおう。最後の条件は少し無茶か? とも思ったけどよくよく思い返してみれば対象は数に逆らえない現代日本の学生達だ。このリーダー共もそれなりに人望はあるみたいだし、明確な大義名分もあるわけだからほぼ間違いなく半数以上が俺の奴隷となるだろう。ならば他の半数以下も流されて俺の奴隷になる可能性も高い。基本的に人間っつうのはフリーの場合小さい集団より大きい集団に属したい生き物だからな。可能性は十分高い。


 奴隷化の条件で支配下に置けばどんな拷問的脅しもOKだし。軽くならまあお叱り程度で許すけど、とんでもない命令違反を冒したら……そうだな、ゴブリン一匹捕獲してどんなに恐ろしい事をするのか教えてやろう。身の毛が全部抜け落ちるレベルの恐怖を味わうが良い。


「そうね、まあ借りは返しておきたいわね。私は賛成よ」

「だな。俺は伊能に着いて行くぜ」

「伊能は頭良いからね。確か苦手な部類って言ってた将棋やチェスですら全国大会の上位に入れるくらいだから、その下につけるなら凄いアドバンテージだと思うよ」

「僕達教師の間では子供とは思えないほどの経験と技術、それに発想と観察眼を持った麒麟児という扱いだったから、普通では気づけない事も対処してくれそうで良いんじゃないかな?」


 などと他のリーダー及び教師も乗り気っぽい。つうか、稲田はあんまそういう事言うなよな。俺が天才みたいじゃないか。野原先生の認識には驚いたけど。まあ曲がりなりにもループ者だし、俺自身が凄いというわけでもない。全てはループが原因だ。


「う~ん、それじゃあ言ってくれ。この俺を支配する魔法の言葉を」


 何せ何者にも屈しない自由そのものであるはずの俺に行動させるのだ。支配されると言っても過言ではないだろう。たとえその行動が俺自身の自由の意味が原因だとしても。


 ってやべ。なんか異世界っつうことで若干中二病の頃の精神が戻ってきたかもしれん。いや、逆に考えれば身内にすらジジイだのおっさんだの年増扱いされてきたのだから喜ぶべきかもしれん。あ、でもただの中二病疾患者だと思われるのも嫌だな……八方塞とはこのことか。


「「俺は伊能に命の恩を返さなくちゃいけない」」

「私は伊能に命の恩を返す」

「伊能は僕の命の恩人だ。返すまで着いていくよ」

「僕の命は恩が尽きるまで伊能君の物です。自由に使ってください」


 ……良く考えたらこのやり取りって残りの同級生分やらなきゃ行けないんだよな? それはそれで憂鬱だな……


 ま、とりあえず。


「良し。ではこれより俺は『生徒:伊能錦』ではなく、『勇者』及び『魔王』対策集団『ヴィルキット』団長、『リーダー:ニシキ・イノウ』だ。手始めに、各リーダーは己の班員を纏め上げ俺に忠誠を誓わせろ。教師二人はその補佐に回ってくれ。頼んだぞ」


 途端、シーンとなる場。やべ、ちょっとカッコつけ過ぎた。うう、はずい、はずいよ『ヴィルキット』。穴があったら物理的に無理があろうと入りたい。


 が、どうやら彼らは俺のビックリ中二発言に驚いたわけじゃないようだ。


「なんか凄い手馴れてる感じがするな」

「すげぇ、マジで恩とか関係なく伊能についていきたくなったぜ」

「ニシキ・イノウ……つまり、この世界風に合わせたって事ね。それじゃ、私達も見習わなきゃね」

「が、頑張ります!」

「ヴィルキット……カッコイイなぁ。どうやって思いついているんだろう」

「なるほど、これがカリスマですか。この様子だと日本にいるよりも生きやすそうだね」


 う~ん、なんか調子狂うな……って、そういえば相手は普通じゃない奴が集まる学校の生徒と教師だった。俺みたいに濃過ぎてレーダーもビームも通さなくなるレベルじゃないにしても、十分家電がうまく動かなくなるレベルには濃い連中だった。例えが古過ぎると自分でも思うところが悲しいな……


 ともあれ。

 こうして、俺は有用な駒と将来の友人候補を確保した訳だ。


 ……何気にイルトミルジスとじんめんじゅが活躍しにくくなったって事でもあるよな。

 今度一緒に狩りでも行こう。そしてイルトミルジスはもっと可愛がろう。


 めんど……もとい実力不足故に同級生の説得を各リーダー達に放り投げてしまいました。やはり一般人を書くのは難しいです……

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