表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三回目に起こるイレギュラー  作者: Dark Revenger
二章:文明は斯く偉大なり
33/50

第三十三話:なんとなく強引な仲直り

 目が、目がぁぁぁぁぁ! 電子機器視るのも辛い!

 さて、中森も運び終え見張り(つってもヴルムとフォグザヌちゃんに怯えて眠れなくなった連中らしいけど)を除いて起きている同級生が一人もいないと確信した事だし。


「クぉん」


 スマホで時間を確認。後三時間くらいで夜が明ける。七時になるにはもう少しかかるかね?


 その間に娘様の名前を考えよう。


「少し動くなよ……」


 せっかくの機会なので落ち着いて娘様を観察する。ちなみに、これをヒトに例えると全裸の園児をジックリネットリ見続ける。になる。それが分かったのかシャサーレ・アレニエがドン引きした。

 まあ、そんな認識の変換なんてしなくても正常なヒトなら娘様を見ただけで目を背けるだろうけど。


 全長は俺の肩に乗る程度なので五十センチといったところ。横の長さは翼を広げて一メートル半ってところか。縦の長さは尻尾入れて一メートルそこそこ。

 で、肝心の詳細だけど……


「改めて見ると、ジャック君の業が分かるなぁ」


 ともすれば爛れたとも表現できそうな仄暗い灰色の皮膚が全身を覆い、本来の色を取り戻したのか竜の寄付独特の縦に開いた瞳孔を囲んでいるのは薄いサクラの色。それはいっそ神聖な雰囲気すら見せるものの、そのすぐ下にある口は禍々しく剥き出しになっていて、覗く牙は両足の爪と同じく龍というより鷲のものに似た鈎爪状だ。広げられた翼はヴルムの物とよく似ているものの、何故か両翼の中央付近だけ羽根とも表現できる部位が逆向き(さかむき)に生えている。しかもどことなく赤が含まれていそうな灰色。俺レベルだとむしろイケてるって感じだけど一般ピーポーからしたら不気味な事この上ないって感じだろいうね。ところで、逆向きの羽根ってなんて呼ぶの? 逆に生えた鱗が逆鱗だから逆羽(げきう)

 興味が湧いた。


「クぉん!?」

「ふむ……悪かった」


 OK、大体逆鱗と機能的には変わらんのね。ジャック君め、後でシメてやる。


「だけど神経の通った羽根って使えるかも」


 換羽の時期は辛いだろうけど。ま、そこら辺は脱皮のある龍と変わらないか。そもそも羽根ではないのだけど。


「とりあえず、聖と魔にまつわる由来にするか」


 う~ん……由来優先か語感優先かで迷う。あ、でも可愛らしい名前にしないといけないし、それでいてどこか力強さを感じさせる龍らしい名前にしないと。ああ、ヴルムとフォグザヌちゃんの名前からもちょびっと貰わんと。竜の名づけ方だけど両親が古龍だし、この分だとわりとあっさり古龍化しそうだからな。そうすりゃもう新たな竜種と言っても過言ではなくなる。そのためには模倣くらいはしておくべきだろう。


「むむ……サナヴェティタスレイン? いや、ヴルムとフォグザヌどこ行ったし。ヴォグザムレイン? ゴツイ。フォグザタルムエルレイン? なんかあざといな……アニャヴルザルムレイン? ああ、良いね。これにしよう」


 結局、憤怒の悪魔サタン様と大体の天使の名前についてくるエルにヴルムとフォグザヌを混ぜた名前を俺の108ある特技の一つ『語感アナグラム』で変換し、改めて二龍の名前を当てはめて少し調整し、龍が子に付ける名前にふさわしい長名と竜の名において伝統とも言える『レイン』を最後に置いた名前に決定。うむ、名前の由来に聖魔の要素があるし、読み方次第で可愛くも力強くもなる名前だ。流石は俺。まあレインは入れたくなかったけど、竜に近しい種となるからには仕方ないだろう。っと、忘れないようメモメモ。


「クぉん?」


 可愛らしく小首を傾げる娘様。そんな未来の古龍を、俺は……いいえ、()は抱き上げ、胸の奥底から湧き上がる親愛なる感情を祝福と共に謳う。


「栄光なる古龍ヴルムと栄光なる古龍フォグザヌの娘。あなたにアニャヴルザルムレインの名を授けます。以降、アニャヴルザルムレインを真名とし、己の身内、親しき友、そして愛する者のみに明けなさい。常の日にて名を用いる時は竜の系譜の常に従い、ナヴァンを名乗りなさい」


 アナン、アヴン、ザルンと、候補はたくさん。だけど、この子にはナヴァンという名前が一番似合っている気がするの。何故だか分からないけど。きっとこの世界においてナヴァンとは素敵な名前なのね。世界が祝福しているのだわ。


「クぉん!」


 この子も喜んでいるみたいね。良かったわ。


「ナヴァン様…………いや、ナヴァン」


 ふぅ……危うく人格がそのままになるところだった。う~ん、まだまだ修行不足だな。

 俺の108ある特技の一つ『擬似メイン人格』。俺という人格を一時的に別人のような性格にし、俺では到底不可能な言動をさせるという特技。ウラガット戦の時もチラっと『昔の人格』が出てきた事からも分かるだろうけど、基本的に長時間使い続けるとその人格がメイン人格に上書きされてしまう。俺の108ある特技の中でもトップクラスの自爆率を誇る特技だ。


 別人格がやれば良いって? 甘い。奴らが俺の体を動かすと奴らの動きを視覚的に視ることは出来ても、経験として己の中に蓄積させることが出来ない。基本的に体を共有する別人ってだけだからな。


「クぉん」

「ああ、ナヴァン。可愛らしい我が名づけ娘よ。俺は変わってやるぜ、お前のためにも」


 今だ擬似的で、演技の籠もった言葉は理性無き魔獣であるナヴァンには届かない。でも言うさ。だってこれはナヴァンの為の言葉じゃないから。俺がナヴァンにしてあげたい事があるだけ。そしてそれは、ナヴァンの為だけじゃない。


 テクニックとか、そんな無粋な物は使わずに変質した皮膚を撫でる。


「そのために、俺は今日から純粋な優しさを思い出す。きっと思い出せない時間が長くて、かゆいところに手が届かないもどかしさを何度も何度も味わうだろう。けど、それでも俺はやってみせるさ」


 やっと、

 やっと俺にも心の底から他者に優しくなれる土台が出来てきたんだ。

 出来る訳が無い。どうせ努力しても無駄。そういう考えは今も変わらない。けど、切っ掛けができた。一歩が踏み出せた。だったら、後ろの足も前の足についてくる。どころか、さらに一歩先を踏み出す。そしたら、前だった後ろの足がさらに後ろだった前の足を追い越すように動き出す。

 俺は、そういう性質の人間だから。


「クぉん?」


 ……フッ。まあいい。

 今はただの一歩。決意なんて高い目標を掲げて、足元の小石に躓く必要は無い。


「イルトミルジス、ファロ、セカロド。出て来いよ」


 ん? 何を躊躇っている? 別に良いぜ、ナヴァンや俺に気を使わなくても。


「クゥ!」

ぽよぽよ×2

「おお、よしよし。お前ら全員大好きだぞ」


 俺の許可を受けて堂々と近づいてきた三体の魔獣を撫でる。ファロとセカロドも、この際溶けるとか痛いとか無視する。ニ体とも僅かに身構えたけど、俺の穏やかな心を察知して大人しくなった。こんな気持ちは雨音を聞きながら膝の上に猫を乗せてお茶を飲みながらゆったりしている時以外感じたことが無い。


「あぁ、良いなぁ。ヒトに囲まれず、癒し系小動物に囲まれてまったりする生活」


 頭のおかしい『未知の世界に影響を与える者』のせいで、そんな生活とも無縁だろうけど。まったく、もっと平和に力をつけろっつうんだ。どうせ不死なんだろうし、怠けてもいいから努力し続ければ『勇者』如きいつでも皆殺しに出来る力が手に入るっつうのに。ま、それが出来ないから世界の力なんて不安定でお手軽な力に頼るんだろうけど。


 なお、イルトミルジスは俺の腰くらいの大きさで、ファロとセカロドは胸までと同じ大きさであるため、一般的に小動物とは言いがたい。まあ、気分の問題だ。


「ふむぅ……しばらく、このままで居させてくれ」


 ああ……癒される。




 さて、そんなこんなで二時間後。


「おはようジャック君。気分はどう?」

『最悪だ。あのウィルフィールとかいうふざけた野郎、いつかぶった斬る』


 どうやら夢見が悪かったようだ。ナヴァンの弱点を一つ追加しやがった件についてオシオキしようと思ったけど、この分だと必要無さそうだ。


「ま、それはそれとして……何か、しなくちゃいけない事があるんじゃない?」

『しなくちゃいけない事? 何のことだよ?』


 う~ん、ここでとぼけちゃってぇ、と言いたくなる俺も大概だけど……


「もう、悪い事をしたら謝らないとダメだよ?」

『……あ、分かった。けどよ、なんだその妙に心に響く猫なで声は? お前ってそんなキャラだっけ?』


 ちげぇよ。


「うふ。可愛い?」

『出直してこい』

「酷い!?」


 よよよ……子供相手に何やってんだか。


「そんな事より、ほら」

『うわっ、ちょ!?』


 俺の心に蔓延る俺以外の存在をぺいっと放りだしてこの世に顕現させる。本来、絶対に出来ないような真似なんだけど、『生命の力』と狂気を操れる俺にかかれば造作も無い。ジャック君は俺の狂気にしがみついているような物だし、位置を特定するのも簡単だしね。


『死ぬ! 死ぬって!』

「じゃあ、死ぬ前にきちんとナヴァンにごめんなさいしなさい。出来るまで狂気は抜きです!」


 ご飯抜き! に通じるフレーズだけど、この子の場合狂気抜くと途端に力が抜けてものの五分で死ぬからなぁ……

 まあでも、ナヴァンに謝るくらいの時間はある。


「ほらほら、死にたくなかったらちゃんと謝ってね」

『くっ……ナヴァン、とか言ったな。悪かった』

「クぉん?」

「ご・め・ん・な・さ・い・は?」

『(びくっ)…………ご、ごめんなひゃい』

「クぉん!」


 よしよし。良い子だぞ、ジャック君。後でえらいえらいしてあげるね。


「よし、これで仲直り完了。ジャック君、ナヴァン。握手して」

『……はい』

「クぉん」


 ジャック君は恐る恐る右手でナヴァンの左翼を握る。ナヴァンもナヴァンでさっきのちょびっと恐怖の混じった謝罪の感情を読み取ったのか大人しくしていた。まあ、ジャック君は霊機物だし、ヒトが普通に感情を持つより遥かに感情伝導率は高い。ナヴァンに心意が届いても不思議じゃないはず。


「ん、オッケ。それじゃあ、戻っていいよジャック君」

『お、おう……ぷはっ、死ぬかと思った』


 ほうほう、堕霊が心に戻ってくるとこんな感触が過ぎるのね。面白い。


『お前! なんて事しやがるんだ! 危うく死ぬところだっただろ!?』


 文句を言うなジャック君。君の言えた事じゃないでしょうに。というか、俺の心に戻った状態でもある程度なら具現化できるんだ。凄いね。


「あら? 無垢な龍の赤ちゃんに取り憑いてあられもない姿に変化させちゃったばかりか、翼の内側という飛行系魔獣にあるまじき弱点まで与えてしまったのはどこのだぁれ?」

『オレでした! ってあれ!? なんかいつの間にかオレの中に情報が入りこんでる!? オレはオレが取り憑いている間の情報しか持ってないのに!?』


 そりゃお前さん、俺の感情由来成分狂気を吸収しているんだから記憶の逆流とか有っても不思議じゃないだろう。


 例えば……


「ジャック君、確かに妹とは愛らしく守ってやりたいものだ。でもだからと言って十歳になっても一緒にお風呂入るのはどうかと思うよ?」

『な、なな、なんでお前がそれを!?』

「俺よりジャック君のほうがキャラ崩壊してると思うけどなぁ」


 とまれ。


「さて、おふざけも程々に。イルトミルジス、ファロ、セカロド。俺の新たな配下、ジャック君だ。ジャック君、俺の愛さ……第一の配下、イルトミルジスとスライムのファロとセカロドだ」

「クゥクゥ」

ぽよぽよ×2

『お、おう。何言ってっか分からねぇけど。って、今愛妻と言おうとしただろ。つくづくイカレてやがる……』

「いやん、そんなに褒めないで?」

『褒めてねえ!! クネクネすんな気持ち悪い!』


 酷い、酷いわジャック君!


「生前は実の妹さんと本気のちっすをしていたくせに!」

『関係ねぇしもう黙れよテメエェェェェェェェェェ!!』


 あ、シャサーレ・アレニエが一歩距離を取った。


「そんな変態さんなジャック君だけど、皆仲良くしてやれよ」

『言わせておけば……』


 シスコンに何を言わされたかなんて留意する必要すらないね。


「さて、そろそろ戻るか。シャサーレ・アレニエの方は帰る意思が無いなら糸を生産し続けてくれ。ちょっと面倒な服を作るつもりだから」

キチキチ


 おお、協力的でありがたいな。例え糸に粘性があっても蚕みたいに煮詰めば問題なくなるだろうし、糸なんつうのは極論纏めて織っちまえばどれも最低ラインの布にはなる。程度の知識しか持ってないけど、まあ手編み応用すれば良いか。いざとなれば『裁縫士』をパワーレベリングしちまって知識を習得させればいい。あるいは技術でも良い。見て盗むという素晴らしい習得法の概念があるのだから。



 で、俺が目を覚ました場所まで戻ってきた訳だ。


「ムムム……」


 ヴルムはまだ人化出来ないようで、ずっと唸り続けている。まあ、才能とかその類を持っている竜でもある程度時間がかかるような『能力』がこの世界にある以上、『種族本来の能力』に対して理解が浅いだろうし。むしろこれで出来たらヴルムまで転生者か何かだと疑わないといけないくなる。


「貴様、娘に手を出していないだろうな?」

「全然? それより、ジャック君かもん」

『うわ!? ま、またいきなり追い出しやがって!?』


 先ほど同じくジャック君とフォグザヌちゃんを仲直りさせる。なんか色々やりとりしてたみたいだけど、正直面倒くさいし色々考え事の種が頭の中で発芽してそっちの育成にかまけていたからあんま覚えてないんだよね。それより俺がなる『ジョブ』候補の想いをもう一度精査して……


『――ぃ! おい! 死ぬ! 死ぬから!』

「わ!? びっくりした……あ? ああ、オッケ、了解」


 鬼気迫る声には反応しちゃう俺。おかげで設定していた俺流スクリプトが半分くらいイカレやがった。ちくしょう……まあ、半分を確保できたと考えた方が良いや。


『ったく……なんて複雑な事考えていやがる』


 それ、たぶん俺の頭の中身が逆流してるからそう感じるだけだぞ。実際、脳細胞なんて物理限界の設けられた有機物ではなくある意味では感情面で制限がある代わりに演算能力あたりの制限はほぼほぼ存在しない霊機物であるジャック君なら余裕で解けるはずだし。まあ、霊機物的存在の演算辺りのアレコレは『最終的に制限が存在しない』程度しか知らないし、他にも何かの制限があるとかそういうのがあって今は自覚がないかもしれないけど。


「貴様……妾の童を害した存在を飼っているって、どういうつもりよ!」

「あ? コイツは俺の戦利品だ。発症例の少ない病人の患部をイ社が摘出した後に保管するのと同じで、俺に所持の権利がある。貴様にとやかく言われる筋合いは無いな」

「筋合いはある。妾の童を害した存在よ!? 親として排除するのは当然でしょ!」

「テメェは自国軍に拘束された侵略軍の兵士を「家族を殺されたから嬲りたり」とはざく勘違いしちゃった国民か? 『政治カード:捕虜』の概念どこ行った」


 戦争で敵を捕虜にした場合、真っ先に行われるのが尋問と必要なら拷問。その後に殺すか拘束を続けるか吸収するのがベターな対処だ。数が多けりゃ兵士も人間な訳だし士気向上的な意味で晒し首にしたほうが効果的だけど。


「妾は戦争に参加した覚えなど無い!」


 うわぁ、例えを本気にする馬鹿がいるよ。まあ、フォグザヌちゃん……コンちゃんの場合『素直すぎる』という理由でもあるのだけど。


 まあ、フォグザヌちゃんに付き合う必要も無い。


「お~い、レミスタンさん! ちょっと来てくれよ」


 無視された苛立ちで尻尾をバシバシ地面にたたきつけるフォグザヌちゃんをしり目にレミスタンさんを呼ぶ。


「ニシキ様、いかがなさいましたの?」

「うわ! 本当に居たぜ『九つの銅い(あかい)骸』!」

「あら、あなたは『切り裂きジャックジャック・ザ・リッパー』様ですわね?」


 やはり知り合いだったか。というかジャック君、お前レミスタンさんの事は名前しか知らないとか言って無かったか? そこらへんどうなのよ。


『それ以上近づくな。あんたの銅い(あかい)骸に食べられてやる義理はねぇ』

「あなたこそ、ニシキ様には近づかれないようお願いしますわ」


 おい、なんで修羅場っぽい空気になってんだよ。こういう空気はいくつになっても胃が痛くなるからやめてくれ。


「二人ともそこまでにしろ。過去はどうあれ、今は互いに同じ組織に属する身。特に二人は俺の側近として何かと活動してもらう予定だし」

「心得ておりますわ、ニシキ様。ただ、あの者は日本人への憎しみのみで生きているような生の残りカス。十分注意されることをお勧めしますわ」

『ケッ。上位グールでありながら一日三食新鮮な人間の生肉を食ってあらゆる魔王に迷惑をかけていた魔王ロクルの『六泥(ろくど)』がよく言うぜ』

「……やる気ですの?」

『……上等だコラ!』


 再びガンを飛ばし合う二人。あー、うん。こういう方向ならオレも楽しめるから存分にやってくれ。


「……とありえず、『六泥(ろくど)』って何?」


 な~んとなく想像がつくけど、一応聞いてみる。


「そ、そんな昔の事はどうでも……」

『魔王ロクルの国は協力だが我の強い奴が勢ぞろいしている事で有名だったんだ。その中でもトップクラスの問題児をまとめた呼び名だよ。名前の由来は魔王の顔に泥を塗る六体の魔獣』


 ……なるほど。レミスタンさんが羞恥から顔を赤くして伏せてしまった事からも真実なんだとうかがい知れる。パパって随分昔から苦労性だったんだね。それを羨ましいと思う反面可哀そうだと思う自分に呆れる。


「だけど、ジャック君も人の事言えないよね。妹にべろちゅーしたり妹と一緒にお風呂入ったり無垢な子龍穢したり、魔王ウォルフとやらの顔に泥を塗るような人生だと思うけど? おっと、最後のは霊生かな?」

『言うなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

「……あらあら、面白い話が聞けましたわ」


 どことなく邪悪な笑みを浮かべるレミスタンさん。いや、あんたもほぼ同類でしょうに。一体どこの『大食い』だよ。鉄骨に潰されるぞ?


「とにかく、双方とも余計な勘ぐりと牽制はやめろ。俺はどっちの勝手も許さない手札をもっている。だから納得してくれ」


 なおも食ってかかりそうだった二人にそれぞれ『ルカン兄さん』、『狂気』と言って黙らせる。一体過去に何があったんだ。ジャック君の話だとそれぞれの魔王(パパとウォルフ)は敵対していなかったらしいけど……まあ、良くも悪くも仲間フラグってどこで立つか分からないもんね。もっと過去には敵対していたかもしれないし、その辺のイザコザが尾を引いているのかも。


「やれやれ……ん? どうしたフォグザヌちゃん。まるでチートスライムに睨まれた牙狼みたいだぞ?」

「訳の分からないツッコミをするな!」


 そのツッコミ、三十点。もうちょっと捻りというか。「力関係が逆転してる!?」くらい言えないの? って感じだね。


「貴様、なんで魔王の幹部にそんな軽々しく話しかけられるわけ? レミスタン・ホルセイテッドと言えば二千五百年前に『銅い悪魔(あかいあくま)』として人間や私たち龍を恐怖に陥れたデス・グールで、そっちの悪霊も正体が『切り裂きジャックジャック・ザ・リッパー』なら千五百年前に三十三の教会を破壊し、六十六の教会の犬と八千人以上の人間を殺して教会の総力によって退散させられたはずの最悪の悪霊。そんな伝説級の存在に、なんで……」


 そんな凄い事してたのかレミスタンさんとジャック君。ていうか幹部だったのか。魔王軍幹部。良いねぇ、ロマンがあって。二つ名もカッコイイし。


「いや別に? そもそも俺は古龍化寸前のヴルムにすら単独で挑んだ馬鹿だぞ? そこらの精神がぶっ壊れていても不思議じゃないだろ今更」

「ついに自分で壊れてるって言ったよコイツ……」


 お、そのツッコミ良いね。まけて七十点あげよう。


「それより、これから狂紅の砲塔……つまり、俺の邪狂実験に入るんだけど、誰か見に来る? あ、レミスタンさんは強制ね。監督よろしく」


 一度寝た後で、その後も特に戦闘や長考はしていなかったために実弾想定版狂紅の砲塔でもニ発は撃てる程度の集中力が残っている。当然、今日から三日は寝ないつもりなので一度試射すればそれで終わりだけど、やはり第三者視点があると無いとで実験結果という奴は変わるもの。出来るだけ多くの観測者がいるにこしたことはない。


「クゥ!」

「クぉん!」

ぽよぽよ×2

「分かりましたわ」

『オレは離れたら死ぬし……』

「ふん、貴様の実験とやらに娘が巻き込まれるのも面白くない」


 そうか、ヴルム以外全員だな。


「という訳で、人化練習頑張れよヴルム」

「ムムム……」


 ありゃ、気付いていないようだ。

 ま、そんだけ集中してるってこった。邪魔するもんじゃないね。


 さてさて、今度も何も無いと良いんだけど……

 なんかマジで目が痛いので、もしかしたら次回の投稿も遅れるかもです。USB見つかれ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ