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三回目に起こるイレギュラー  作者: Dark Revenger
一章:憧れの異世界が効率レベリングの場に変わるまで
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第二話:とりあえず誰か助けてくれ

 まあ歯噛みしたところで状況が良くなるわけでも無い。幸い近くに大人がいるし、俺の手元には武器がある。俺が注意をひきつけている間に先生に木槍を託し、食料探索組に手伝ってもらうのが現実的だろう。


「先生、焚き火を十二時として二時の方向に猛獣がいます。ちょっと牽制してくるのでこの武器よろしくお願いします」

「何ぃ? ま、待て――」


 先生の制止を無視してアルミラージの群れに突っ込む……ほど俺は馬鹿ではない。

 ざっと見た感じ対処不可能なほど多いわけではないけど、一人で対処するには不可能な程度には多い。流石に雑魚で有名なアルミラージが魔法を使うとも思えないけど、異世界とゲームを同一化してはいけない。ある程度の可能性は想定しておくべきだろう。見た目のわりに筋肉の質が良すぎるチート生物かもしれないし。その場合勝ち目は無いだろうけど……そんな化け物がうようよいるのならここで逃げたところで死が遅くなるだけだ。なら試すしかない。


 ので、近くにある石を拾ってアルミラージの群れの真ん中……ではなく近くの木に当てて群れの真ん中に落ちるよう計算して投げつける。馬鹿正直に石を投げても逆探知されるだけだしな。


 焚き火を囲んで木の実やらキノコやらに夢中のヒト共に夢中だったアルミラージの群れは予想外の襲撃にあわあわと可愛らしい動揺を見せて俺の心にガッツリ罪悪感を残してからビーダマのような赤い目をくりくりと動かして元凶を探っている。うむむ……なんかこれから悪いことを始めるのかもしれないと思えてきた。かといってこのまま放置するには危険度が高すぎるし……


 なんて素人すぎる逡巡を重ねていると、アルミラージのヤツらは(恐らく)恐怖のあまり四方八方へと逃げ出した。ヤベッ、大半は関係ないとこ逃げてったけど何匹か焚き火側に逃げやがった。

 ちくしょう、俺としたことが情けない。たかが兎にほだされて咄嗟に動けないなんて……クソッ! 間に合えよ!


「逃げるな! 男子は女子を守れ!」


 焚き火組に聞こえるくらい大きな声で、しかし普段の猫なで声ではなく低音カラオケ用のダミ声で警告を飛ばす。迫力優先。

 逃げろ! でもいいけどその場合行方不明者が出るからな。その中に俺の専科のヤツがいたら後味悪すぎる。後半は役割を与える為だ。パニックになって無秩序に動かれても困る。一塊になってもらえばその分ダメージが緩和されるし俺も動きやすい。幸いにも動きからして俺が全滅させるのは簡単だろうし。


 鬱陶しい藪を突き抜けると……同級生は俺の声でパニックとなりさらにアルミラージでパニクってる、だと!? 使えねえ! 俺の声使えねえ!! つうか大谷先生! あんた警告してなかったんかい! 俺の大切な作品はどこにやりやがったこの野郎!


 それはともかく、急いでアルミラージを処分しなきゃならない。幸いパニックで焚き火に突っ込むような愚か者はいないらしく、そろそろ闇に呑まれるジャングルへと足を運ぶ馬鹿もいなかったようだ。代わりに広場中(転移してきた場所)にパニックとなった人間が蔓延っている。この乱戦状態の中であまり刃物を動かすのは無理だな。

 ならば。


「みんな、落ち着いて! 男子は女子を守るのよ!」


 とりあえず女性歌手曲カラオケ用の女声で命令を飛ばす。女子はともかく野郎なら綺麗な女の子の声に反応して半ば無意識に身体を動かすからな。俺の地の声より警戒しなさそうだし。

 思惑通り全員が女子を庇う、なんて事には残念ながらならなかったけど(そもそも女子のほうが多い)、何人かの男子は素直に近くの女子を庇うよう近くへ寄った。少しだけだけど空間に隙間が出来た。よし、これで被弾率は下がるだろう。弾っていうより角だけど。


 作業終了と共に鞘に戻してあった大型ナイフを右手で抜き取り、念のため持ってきていた木槍を左手で構えながら手近なアルミラージの角を狙って攻撃する。流石に同級生組に殺戮現場を見せると俺が危険人物扱いされかねないし、アルミラージの危険なところは角だけだからな。危険物を排除すれば後は可愛い愛玩動物の出来上がりだ。


 手近なアルミラージ……と思ったけど意外と距離がある。何故と思った疑問は目の前のアルミラージが解決してくれた。

 単純に他のアルミラージより一回り大きかったのだ。


 そのアルミラージは突っ込んでくる俺を見てビクッとまたしても俺に罪悪感を抱かせる震え方をした後、健気にもしっかりと体制を整えて己が最大の武器である角を俺に向けて逆に突っ込んできた。どうしよう、完全に俺が悪役。


 何故なら突っ込んできたアルミラージを左に受け流し右手に持ったナイフで角を切断したからだ。……オイ、なんだ若干名の有象無象諸君。俺をそんな目で見るんじゃない。


 しかし振り返った先には、なんと新しく紫色の角を生やしたアルミラージがいた。おいおい、これじゃ絶命させなきゃいけないじゃないか。これ以上俺に罪悪感を積ませるつもりかこの天然危険物!


 しかし、驚いたことに先ほどまでの敵意が嘘だったかのように大柄なアルミラージはトコトコと油断しながら俺に歩み寄ってきた。

 対する俺は様子の変わったアルミラージに油断無く木槍を構える。危険箇所が排除出来ないなら仕留めるしかない。これは生存競争を賭けた弱肉強食のバトルなのだ。


 ところが、アルミラージは事もあろうに俺の間合いの少し外くらいの箇所まで近づくとゴロリと寝転がって腹を見せてきた。ど、どういう事だってばよ?










 ……………………あ、ピクッってなった。

 ハッ! 俺は何を?


 見れば目の前には俺の手により蹂躙され息も絶え絶えとなっているアルミラージが。


 ま、まさか、同級生をほったらかしにして、無意識に兎を愛でていた、だと?

 ギギギと錆付いた扉を開けたような効果音と共に周囲を見回すと……ポカーンと俺を見ている同級生と同じくポカーンと俺ではなく蹂躙されたアルミラージを見ているアルミラージが。


 どうしよう、今の俺わりとピンチじゃね? アルミラージ共はともかくあの状況でこんな奇行を演じた俺ってすげー悪印象持たれてつるし上げの対象にされかねない。いや極端な想像だけどさ。最悪の場合じゃないかもしれないけど悪い状況なのは変わらない。


 いやいや落ち着け俺。そう、筋道だって考えるのだ。よく見てみろ、この何か良く分からない雰囲気の正体は何だ? 少なくとも慣れている悪意や敵意の類じゃないだろう。こう、なんというか理解出来ない問題を前にした、みたいな感じだろ? なら挽回は可能だ。言い方に気をつけて答えを教えれば若干の好意を持たれるのではないだろうか? そうだ、そうに違いない。


 ならば答えを提示せねば。

 まずこの場合の問題とはこのアルミラージだろう。いきなり表れた正体不明の動物がいきなり同級生に懐いた。恐らく同級生はこんな感じの認識だろう。

 つまり『Q.私たちに襲い掛かってきたこの角付き兎が、伊能錦君に懐きました。さて何故でしょう?』だ。

 ということは『A.』を同級生(とついでに先生)に示さないといけないのだ。


 よし、次は答えを見つける番だ。

 俺に小説やアニメのような特殊能力は無い。しいて言えばループを持っているけど今は関係ない。

 ならば状況。そう、状況だ。思い返せば俺が目の前のアルミラージの角を圧し折った時からコイツは俺に懐いた。つまりアルミラージは角を折られると折った相手に懐くのだ。切断とかかもしれねえけど恐らく関係ないだろう。怖いのはコイツ固有の特徴とかだが、現状を打開するには検証時間が足らない。なに、だったら角が再生するのもコイツ特有かもしれねえし、いざとなれば今回は実験だった事にすれば理論上問題ない。感情上吊るし上げを食らうかもしれないけど……


 ……何気に人徳かな? って思ってたんだけどなぁ…………


「今じゃ! 兎の角を折るのだ! 呆けておる今がチャンスじゃぞ!」


 そうと決まればアンサーだ。

 例によって声を頼りがいのある老人風(個人的に某魔法学校の校長に似てると思っている)に変えて周囲に喚起を促す。謎すぎる声に、しかしハッとして未だ呆けているアルミラージ数匹に群がるガタイの良い男共。反応が遅れたアルミラージ共は呆気無く男共に捕まり大事な一本角を圧し折られる。今更だけど脆いなぁ。


 あまりの痛みにアルミラージ達は悲鳴を上げるも、それを冷たく見下ろす巨漢達。やがて痛みが引いてきたのか自らを傷つけた男の手腕に恍惚な表情を浮かべ、もっともっとと身体に求める。ニタっと笑みを浮かべた男共は無抵抗なアルミラージを蹂躙せんと手を伸ばす。

 やがて純粋で自由だったアルミラージ達は、卑劣な男共の手によって(手本、俺)従順な奴隷へと堕ちてゆくのだった……


 うん、何故かこういうナレーションだけでイける気がしてきた。どうしよう、相手兎なのに。


 おふざけはともかく、どうやらアルミラージという種族は角を折られると折った相手に従属するようだ。現に俺が蹂躙したアルミラージは既に息を整えて頬を俺に当てて構ってオーラを出している。今構い出すとあまりの可愛さに本性が表れ同級生にドン引きされる可能性があるのでやらないけど。そ、そういうのは、み、皆がいない時に……しよ?


 ふむふむ、しかしこれでこの転移が異世界転移だと分かった訳だけど、ステータスとかはあるのか?


 物は試し。


「ステータス」


 ……ま、当然だわな。ここは異世界であってゲームではない。ファンタジーであってもゲームでは無いのだ。あんな測定方法不明な数字の羅列が表れてたまるものか。


 じゃあ次だ。


「ファイア」


 ……ま、当然だわな。いくら縋りつくべき最後の幻想とはいえ、本物の異世界の魔法の詠唱とは限らないもんな。まあコレの場合俺が赤魔術師じゃないからかもしれないけど。


 よし次。


「ホイミ」


 ……ま、当然だわな。流石にアルミラージいたから竜の依頼とか無いわ。もっとも、この場合も俺が白魔術師ですら無かったからかもしれないけど。


 その後も緑だの時だの裏だの召喚だの試してみたけど一向に魔法が発動する気配は無い。畜生、結構どころか無茶苦茶憧れてたのに! くそう、そろそろウィン、ガーディアム、レビィ、オーサー! を試さなくちゃならなくなるぞ。


 ……あ、マイナーだからアレ忘れてた。

 もっとも、コレを魔法と呼ぶのは魔法に対する冒涜だろうけど、まあさんざ術師揃えといて一つだけ試さないのも歯切れが悪いだろう。


「ラーニング」


 …………え? なんで俺の手から角生えてんのん? しかも引っ張られる! 助けて! 誰か助けて!


 俺の意思とは関係無しに動く腕はいくら踏ん張ろうが叩いてみようがまったく速度を落とさず、近くの木にぶつかるまで速度を緩めなかった。


 そして動く木。

 いや、ちょと待てちょと待てファンタジー! じんめんじゅってなんですのん! 空気読め、ぃ言われても、突発事態で出来ません!


 下手なモノマネしとる場合かぁぁぁぁぁぁぁぁーーー!!

 あぶねえ、現実逃避の手段がグラサンリズムコンビとか俺の頭がマジやべえ。ちぃ、俺はゆっくり考えて最適解を導き出すタイプなのにっ!


 ていうか同級生共、何非難籠めた目で俺を見てんだよ。こんな近くに魔物置いとくテメエらが悪いんだろうが! むしろ襲われる前に化けの皮剥がれて良かったじゃねーかよ! 貧弱な一日本の高校生が闇夜に乗じられたらぜってー分からんだろうが。


 若干涙目になりながらナイフを構えてコワモテウッドに敵意をぶつける。樹木の癖に獣みたいに俺の害意に反応してメリメリッと樹が出しちゃいけない音を鳴らしながら俺を叩き潰さんと迫ってくるじんめんじゅ。


 その間にアルミラージが入り込みそうになるけど、制止する。これがデータ優先のRPG的世界なら心強い援軍な訳だけど肉体優先の世界となると三メートル越えの動く木VS棘に毛が生えた程度の角しか無い兎。どう逆転しても勝ち目は無いどころか俺にとって邪魔になるまである。まあその心意気は後で個人的に愛でて返すけどな!

 その為にも、ここはぜってー生き残る! たとえ同級生を見捨てても!


「おいおいおいおぃっ! この状況見て誰も動かへんのかぁーい! 先生も木槍の先端にライターかなんかで火ぃ灯して援護するとかしろよ! 俺にナイフと木製の槍だけで戦わせる気か!」


 とまあ意気込んでみた訳だけど、流石に一人じゃどうにもならんのが現実な訳よ。元々あまり筋肉が付きにくい体質だから同年代の子より少しマシくらいのビューティフォー引き締まりマッチョな俺が間合いの短いナイフで戦うなんて土台無理な話だったんだ。まさかのラーニング(らしき現象)で覚えたアルミラージの『角突き』(命名、俺)くらいが有効打を与えうるのだけど……これまた樹木系に対して相性の悪い『突き』だ。しかもMPに相当する能力値が存在するかどうかすら分からない現状あまり多発しないほうがいいだろう。物語によってはMP切れると死ぬとか気絶するとかあるし、もしかしたらHPを消費しているのかも知れない。何が起こるか予測の立てようが無い異世界初日で冒険はしたくない。


 幸いなのは攻撃のレパートリーの無さだな。ぶっちゃけただの樹が動いているだけだから攻撃方法は枝によるなぎ払いや叩きつけのみだ。俺のナイフは腰に納まる程度の大きさといえど、どっかの軍で採用されている良品だから受け流すくらいならなんて事は無い。まあスタミナその他の問題でジリ貧なのは確かなのだけど。


 しかもさっき『角突き』に引っ張られた時に付けた傷もなんか頭の葉っぱで回復してるし。お前まんまじんめんじゅじゃねーか。世界の意思で消されたらどうしてくれる。まあ異世界のマギマギしい樹木に回復効果が無いというのも違和感のある話だけども。


 しかししかし、そこを打開しないのはすなわち俺の敗北を意味する。その後に待っているのは死……いや、回避不能とはいえ先に仕掛けたのはこっちだから文句は言えないけどさ。でもでも、ここで引いたら確実に殺されるし。い、生きるためには仕方が無いんです!


 ……本当に、誰か助けてくれよ。山火事なんて心配してる場合じゃないだろうに。教師もさぁ、子供に戦い任せといて無視はいけないと思うんだよねぇ。応援とかマジいらねえからぁ。声より手ぇ出してよぉ。


 ……あ。

 まあ、愚痴を言っていても始まらない、か。


「んじゃま、そろそろ反撃と行こうか」


 思いつき。編集者や出版社等必要最低限以下の人員で本を作る個人作家を名乗る者としてなくてはならない想いの力。

 確実性の無いあやふやな物であるけど、だからこそ人を惹き付ける。幻想とは得てしてそういうものであり、自ら見る事の出来ない頭の中で生成される夢の力なのである。


 今、俺の中に思いつきの策が浮かんだ。

 理論に基づく確実性も無く根拠に乏しいあいまいな策であるけど、このまま誰の助けも来ない絶望的状況から助かるには幻想に縋るしかない。


 声を出さない樹の化け物は三メートルを超える体をしならせて生命力に溢れる枝木を俺にぶつけてひき肉に変えようと迫ってくる。俺はそれをきわどいところで左に受け流し、わざと殺しきらなかった力を遠心力に変換してくるりと一回転する。樹皮の一部に浮かぶ人を模した顔が僅かに歪むのを確認してナイフを持つ左手に力を籠める。


 幻想にしがみつく力は希望と勇気と、基となる欲望。

 さあ思い出せ()よ!


 僕の願いはなんだったか? 全てを諦めただ怠惰に過ごしていたあの時願った欲望とはなんだったか!?


 僕が望んだのは、あのクソッタレた現世(うつしよ)から目を逸らし幻想へ回帰することぉ! すなわち現実からの脱出! あるいは逃避ぃ!

 持ち帰った知識を生きるために使い、自らの飢えを凌ぐ事こそが僕の唯一にして最大の欲望!


 今だ! 今こそが欲望を叶える最適なシチュエーション!!


 欲望を再確認した。己の身体を危険に晒してまで不確明な策を頼る勇気を出した。これからを想い掴み取ると確定した希望を持った。

 後は、幻想の導きのままに。


 一瞬の思考で体に張る力はさらに増した。自己催眠ってホント便利。左手に張る力がさらに強くなり目標へ向かう足はさらに速くなる。本来人間が全力疾走からさらに加速する事など有りえないけど、幻想に縋る者は時として奇跡を起こす。まあ火事場の馬鹿力みたいなものだと考えれば説明はつくか。


「きしっ」


 その時になって初めて笑みを浮かべる。


「きしししししししししっ!!」


 肺活量の問題で気味の悪い軋み声が響く。

 見ればじんめんじゅの顔は恐怖に引き攣っていた。心なしか視界の隅に映る頭上の葉も艶を失っている気がする。あれか、極度のストレスを短時間で味わうと髪から色素が抜けて白髪になるのと同じか? どこか生物ちっくなところもあるからありえなくもないな。いや、人外なモンスターに恐怖を与える俺もおかしなもんだけどさ。


 最後の一歩。すでに目の前は樹皮で一杯になっている。左手に持つナイフを半ば無意識のうちに逆手に持って斬撃体勢を整え、人間味のある恐れ顔に容赦無く上から叩きつける。


 ザギザギザギッ! と、真一文字に続けて樹木を斬る音が俺の耳を穿つ。人間で言えば右目の眉から顎先までが削り取られた状態のじんめんじゅは、しかし何も無かったかのように傷を修復させる。左手の叩きつけに全力を注いでいた俺はすぐに立ち上がることが出来ず、絶体絶命の危機に陥る――


 ――本来なら。


 硬直していたじんめんじゅはゆっくりと俺に向き直る。まだ体勢の整っていない俺が八つ裂きにされるとでも思ったのか、同級生のウチ何名かの悲鳴が届いてきた。


 しかし、俺は笑っていた。

 振り返ったじんめんじゅも、笑っていた。


 やっぱり! モンスターは己の特徴を破壊した相手に服従する! 俺は現実に勝ち幻想を獲得した! 状況証拠だけの捨て身策だったが、ハハッ! コレは強みだ! この世界の法則が一つ分かった! きしククッ! きはははは!


 ……ハッ! 浮かれてる場合じゃない。

 不思議というよりもはや不気味な物でも見るような目で俺を見てくる同級生と先生を説得しないと……面倒くさいなぁ。


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