過去話するのもメンドクサイ
やっと2話目
俺が造られることになったのは、仕事手が足りないという単純な理由からであった。
これから俺が造られてから、面倒臭がりになるまでの話をしようと思う。(ちなみにこの話は最初から記憶させられていた。)
ある日咲苗は剛にこんなこと言ったそうだ。
「ねえ、あなた最近つらくない?」
「ん、なにがだ?」
「仕事よ、仕事。最近は幸恵ちゃんが仕事をするようになったし」
「ああ、確かに」
もともと江田家の何でも屋は最初から繁盛していたのだが、幸恵が仕事をするようになって仕事の幅が広がった御蔭なのか益々評判が良くなり、仕事がさらに増えるようになってしまったそうだ。
「なんなら、もう一人挑戦してみるか?」
「嫌よ、陣痛って相当痛いのよ」
「ええーわたしも弟か妹が欲しいよー」
偶然近くを通りかかって話を聞いていたのか、幸恵も家族が増えることに賛成していた。
かわいい愛娘の懇願に思わずOKサインを出したくなった咲苗だったが、やはり陣痛が怖いのか頭を横に振って拒否の意志を示す。
幸恵はお願いを拒否されたことからがっかりする。
その姿見て気の毒になったのか、両親は必死になって打開案を考える。
すると咲苗が突然何か思いついたように手を打つ。
「そうだわ子作りが駄目なら子造りをすればいいじゃない」
お前はどこのアントワネットだ,とツコッミを入れたくなるような意味不明なことを言い出した咲苗に剛は思わず戸惑っていたが、頭が良い幸恵は即座に咲苗の言ったこと理解した。
そしてすぐに自分の家族となる人型ロボットを製作作業を開始した。
最初は人工知能を造り出した。(このとき初めて総一の意識が目覚めた)
そして、人工知能に幸恵の知識や、咲苗の家事の技術、剛の戦闘技術と家族三人ができないことを(ロボットでしかできないことは身体を造る際に)覚えさせていった。
次は身体を作っていった。
実はこの作業が一番時間がかかった。
何故なら剛の動きを再現できそうなパワーがでるモーターや、動くときの衝撃に耐えられるパーツがなかなか造れなかったからだ。
しかし努力の甲斐あってか、予定よりも良いものが出来上がった。(つまり剛よりも強い力がだせるようになっていた。)
最後に自動修復と自動で改造する機能(歳に合わせて見た目がかわるようにするため)を持った小型ロボットと人工知能を入れて、人口皮膚を付けたら、その他、仕込み武器などのロボットならではのものを付けていった。
そしてやっと見た目十歳で男の子の総一が完成した。
家族三人はやっと俺が完成したことに喜んだが、俺が生まれて初めて言った一言で落胆することになる。
そう、この先何回も心の中で思い、何回も口にするのであろう言葉で――。
「メンドクサイ」