リュックサックが使えないのもメンドクサイ
この話書いてて思ったんですけど、無理に笑いどころ作ろうとして無駄な掛け合いが多くなるから話の進みが遅くなるのではないのかと(冷や汗)。そのことに気付いたのにも関わらず今回もコメディ臭全開で行くお馬鹿な作者を許してください。あと今までコメディのタグ付けることをすかっり忘れてました。俺もうお馬鹿通り越してド阿呆ですねww(涙腺が故障して涙がちょろちょろ)
最初は徳積みゲージから確認することにした。俺の転生内容がどう変わったのか気になるし。
手をリュックサックに突っ込んで徳積みゲージという言葉を思い浮かべてみる。
……………………何の変化も起きないのだが。
念のためまたリュックサックをひっくり返して振ってみるがやっぱり出ない。オーディンの奴め、不良品を渡しやがったな。
「中小娘、オーディンに一言文句言いたいからさっきのガラケー貸せ」
「その携帯電話がさっき壊れたんですけど、総一さんのせいで!」
そう言って粉々になったガラケーを見せてくる中小娘。
いやいやあれは俺のせいではないだろ。偶然倒れたところにガラケーが落ちていたせいだろ。うん俺は悪くない。
とか言っても納得しないだろうな。メンドクサイが直してやることにしよう。
中小娘からガラケーをひったくり作業を開始した。後ろから「これ以上私の携帯電話に何をする気なんですか!?お願いしますからやめてくださいいぃぃ」半分泣いているような声が聞こえたがまた無視した。
――十秒後――
「ほら、直ったからさっさとオーディンにかけろ」
「わたしの携帯電話ああああああああああ!」
無造作に投げたガラケーを中小娘はヘッドスライディングによって見事キャッチに成功した。
「よく帰ってきてくれましたー。私の携帯電話」
泣きながらガラケーに頬ずりをしだす中小娘。物にたいしてそこまでやるとさすがにちょっと引くレベルだと思うんだが。
「にしてもこれ形がだいぶゴツゴツになってるんですけど、本当に直ったんですか?」
「ちゃんと使えることは確認したから問題なし」
ていうか形がゴツゴツなのは俺のせいではない。いざ修理しようと物質解析した結果がまたまた解析不可能だった。
てなわけで下手にいじって使えないようになっても困るのでバラバラになった部品同士くっつけるしかしなかった。ゴツゴツな部分は、形が変形してしまった部品をそのまま無理矢理くっつけてしまったときの名残であって決して手抜きではない。
「いやーでも、いきなりあんなことして携帯電話が直ってたらどうにも違和感しかないんですけど――って本当に使えたっ!」
ガラケーを操作しながら驚きの声を上げる中小娘。うるさい。
……まあでも中小娘の言っていたことも一理ある。
俺がやったこと第三者が見れば、ただ粉々になってしまったガラケーを口の中に入れてうがいをするように口を動かし、しばらくして口を開けると修理されたガラケーが出てきた、ということになるからな。
うん、完璧に信用できない。俺も目の前でいきなりそんなことされたらこの人頭がおかしいのかと思う。あ、でも手品師の人たちも口からトランプとか出すマジック(実際に口から出してるわけではないが)してるし、それだと手品師の人たちまで変人扱いになってしまうから、この人頭がおかしいのか(ただし二分の一の確率で手品師)と思おう。
そんなどうでもいいことを考えている間にオーディンに通信が繋がったようで中小娘がガラケーを差し出してくる。そのガラケーを受け取り、先に一言言った。
「不良品よこしてんじゃねえよ疫病神」
『うーん名前で呼んでくれたことは嬉しいけどなんか違和感があるなー』
キノセイキノセイ、ハハハ。
『それで不良品ってなんのこと?』
「てめえが送ってきた(てか落としてきた)リュックから物が取り出せねえんだよ」
『ああ、そのことなら大丈夫だよ。それは元々僕の物だったから僕以外使えないようになっていたことをすっかり忘れていたから、さっき君が使えるようにしといたよ。もう物が取り出せるはずだよ』
「ちなみにさっきっていつのことだ」
『きっかり三分前だけどそれがどうかした?』
「……なんでもねえよ」
『あっそ。あ、ちなみにそのリュックサックをついでに君と君が許可した人以外使えないようにしといたから。じゃあねー』
通話切られてから俺は中小娘にガラケーをキラーパスした。
「へぶっ!」
俺が投げたガラケーは見事中小娘の顔面にヒットし、心の中でガッツポーズする。
「って、いきなりなにするんですかっ!!」
……復活早いなおい。
「気にするな、ただのやつあたりだ」
「気にしますよっ!何も理由がないのにこんなことされたら!」
「理由ならちゃんとあるぞ」
「え?」
おれはリュックサックを指さしながら言った。
「さっきの通話で聞いた疫病神がリュックを使えるようにした時間が三分前でお前のガラケーを直したのが二分五十三秒前だ。つまり――俺はお前のガラケーを直す必要は全く無かったんだ」
「…………はい?」
俺の言ったことが理解できてないのか首をかしげる中小娘。えー、ここまで言ったのに理解できてないのかよ。こいつの理解力がよかったらこれ以上説明せずに済んだのになあ。
「そしてその後で込みあがってくる意味の無いメンドクサイことをやらされたことに対する怒りと後悔。この気持ちをどうやって晴らせばいいと考えていた時俺は気づいた。自分の手にはガラケー、目の前には中小娘。これはもうやるしかないなと思って」
「憂さ晴らしに私に携帯電話を投げつけたと?」
「そうだ。納得できたろ」
「納得できるわけないでしょおおおおおお!!」
この後中小娘に「正座してください、今からお説教です!」とか言われたが、もちろん正座はしなかったし、説教は聞き流した。
総一がどうやってガラケー修理したのかは後々詳しく説明します。