オーディンからの手紙もメンドクサイ
信じられないだろ、総一異世界に来てからその場から動いてないんだぜ(泣)。もうちょっと話をサクサク進められたらいいんですけど中々難しいですね。
『僕はやることがあるから、またね~」
「おい、ちょっと待て。俺も意味が分から『ブツッ、ピーピー』……」
通話が切れた瞬間に俺の顔面にくっついていたガラケーが取れた。
あの野郎、最後無駄に喋らせて切りやがった。まあこれでメンドクサイ会話ともおさらばできるな。
よし、寝よう。
そう決心した俺は、そのまま前に倒れてうつ伏せの状態になった。地面に放置されていたガラケーはそのまま俺の下敷きになりバキッと音を立てた。
「私の携帯電話がオシャカになった音がしたんですけど。気のせいですよね、気のせいですよね総一さん!!」
中小娘がまた何か喚いておれの身体を揺すってくるが俺は完全に無視してそのまま寝させてもらう。
今度は面倒臭がらず五感機能を切っとくかなー。
ヒューーーーーーーーーーーー。
ん?この音は、
「総一さん、危ない!!」
突然中小娘が叫ぶ。
もしかして、この音は――
ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーードスン。
――後頭部に強い衝撃を受けて疑問は確信へと変わった。そして再び俺の顔面が地面にめり込むこととなった。
いい加減上から物(二回目は幼女だったけど)落とすのやめないかなあと思いながら地面から抜け出して(今度は普通に手を使って抜け出した)落ちてきた物を見てみた。
オーディンが落としてきた物は大きめのリュックサックだった。ちなみにオーディンが落としてきた物だと完全に分かったのは、そのリュックサックに差出神オーディンと書かれた封筒が貼っ付けてあったからだ。
リュックサックはかなり重量があった。いったい何が入っているんだろうか?
早速リュックサックの中に手を入れて探る、なんてメンドクサイことはせず、取り出し口の方を地面に向けて豪快に振ってみる。
しかし一向に物が落ちてこない。中身を覗いてみても、やはり何も無い。重りでも入っているのかと思って金属探知をしてみるが結果は解析不可能。物質解析もしたがそちらも駄目だった。
仕方がないので、リュックサックを調べるのは後回しにして封筒の中身を見ることにした。
封を開けると今度はちゃんと中身があった。一枚の手紙が入っていた。
それ以外の物は入ってないようなので、その手紙の内容を確認してみる。
総一君へ
今回はこっちのミスで転生内容を変えてしまってごめんね。お詫びにいくつか君の役に立つ物を送ることにしたよ。
一つ目はこの手紙を貼り付けていたそのリュックサックだよ。一見ただのリュックサックだけどその中にはどんな物もいくらでも入るようになっているんだよ。どんなに物を入れても重さは50キロ以上にはならないようになってるし絶対に壊れないようにしてある。しかも中に入れている間は時間による劣化がなくなるんだよ。だから食べ物とか入れていても大丈夫だからね。中に入れた物を取り出したいときはその物の名前か形を想像すればいいからね。これから書いていく物はリュックサックに全部入れといたから取り出したいときはそうしてね。
二つ目は食べるとどんな魔法でも使えるようになる木の実だよ。ただし一日十回だけだから注意してね。
三つ目は君が製作した便利道具もろもろだよ。電気のない(雷の魔法はあるけど)異世界であっても使えるように君の身体のオプションパーツ以外の物も君に触れたらエネルギーを補充できるようにしておいたよ。おまけにいくら使っても中身が無くならない材料の詰め合わせセットも付けておいたから新しい道具の製作や改造に役立ててね。
最後は君の転生に関することの説明役兼、サポート役の徳罪ゲージだよ。この道具の話はしっかり聞いておくんだよ。いい、絶対だよ、フリじゃないからね。
それじゃあ、頑張ってね。
オーディンより
……頑張ってねって言葉を書いてるってことは俺は何かやらされるんだろうか?嫌な予感しかしねえ。
不安になりながらも、とりあえず送られた物の確認することにした。