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民明書房刊 役に立たないネコのコトワザ図鑑   作者: ロータスシード


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爆傀儡拳(ばくかいらいけん) ボ〇バーマン

爆傀儡拳ばくかいらいけん

挿絵(By みてみん)

――爆砕人形を操る禁断の流派――

『中原秘伝火薬武術大系 第七巻 ――禁断流派と近代への影響――』

民明書房刊 著:司馬爆裂・著 監修:北京古武術研究院 1991年


唐代、火薬の発明が中原に革命をもたらしたことは、もはや説明するまでもあるまい。

しかし一般に知られる「火薬=兵器」という図式は、あまりにも表層的な理解に過ぎない。火薬の誕生と時を同じくして、中原の武術界においては、他の追随を一切許さぬ一つの禁断の流派が生まれていたのである。

その名を——**爆傀儡拳ばくかいらいけん**という。


流派の成立

唐代中期、河南省の山岳地帯に一人の奇才が現れた。

名を**諸葛爆仁しょかつばくじん**という。

彼はそれまでの武術の根本的な矛盾に気づいていた。

いかに鍛え抜かれた肉体も、所詮は一個の人体に過ぎぬ。強大な敵、堅固な城壁、圧倒的な兵力の前には、筋骨の限界が立ちはだかる。真の武とは、力に非ず。頭脳による制圧に他ならない。

諸葛爆仁はここに一つの境地に達した。

「自ら戦わずして敵を滅する」——これこそが究極の武の理念であると。


爆砕傀儡の構造

諸葛爆仁が開発したのは、カラクリ仕掛けの木製人形であった。

その人形は、歯車と発条ぜんまいの組み合わせによって自律的に歩行し、内部に充填した黒色火薬の塊を指定の地点に運搬・設置・起爆する機能を有していた。宮廷機械技術書「動機精巧録」にその設計図の断片が現存しており、その精緻さは現代の工学者をも驚嘆させると、北京古武術研究院の陳教授は述べている。

この人形の運用法は明快であった。

① 爆砕傀儡を敵陣・城壁付近に潜入させる

  ↓

② 傀儡が自律歩行にて目標地点へ到達

  ↓

③ 黒色火薬を起爆、土壁・城門を爆破

  ↓

④ 術者本人は強固な岩壁・遮蔽物の背後に

  身を潜め、爆風・爆炎より完全に身を護る

  ↓

⑤ 敵、為す術なく爆殺される

術者が直接戦闘に参加する必要は、皆無であった。

これが爆傀儡拳の真髄——**「不動の勝利」**である。


流派の極意「遮壁待爆のしゃへきたいばくのことわり

爆傀儡拳の奥義書「爆傀真伝」には、以下の一文が記されている。


「岩陰に身を置き、傀儡をして爆ぜしめよ。

真の勇者とは、戦わずして勝つ者に他ならない」


この思想は単なる臆病とは断じて異なる。

自らを危険に晒すことなく、知略と機械仕掛けによって圧倒的優位を構築する——それこそが爆傀儡拳が数百年にわたって武術家たちを魅了し続けた所以に他ならないのである。

なお、複数の傀儡を同時に運用し、敵の退路を塞ぎつつ追い詰める「四方爆囲陣しほうばくいじん」は、この流派最高位の奥義とされており、習得者は歴史上、わずか七名しか存在しなかったと伝えられている。


禁断指定と文献のみへの封印

しかしその余りにも凄惨な殺傷能力ゆえ、爆傀儡拳はやがて時の為政者の目に留まることとなった。

宋代初期、時の皇帝・太祖趙匡胤は勅令を発した。


「爆傀儡拳は、その威力において国家の存亡をも左右しかねない。

以後、この流派の実技修練を全面禁止とし、文献の保存のみを許可する」


かくして爆傀儡拳は実戦の場から完全に姿を消し、わずかな写本のみが一部の知識層の手によって秘かに受け継がれていくこととなったのである。


近代への継承——ゲームという名の昇華

時は流れ、二十世紀後半。

日本のゲーム開発者である某氏は、古書店にて偶然入手した漢籍の写本の中に、爆傀儡拳の技術文献の断片を発見した。

某氏は直感した。

これは武術ではない。これはゲームである、と。

「自らは安全な場所に身を置き、爆発物を駆使して敵を倒す」というこの流派の根本思想は、そのままゲームデザインの哲学として完璧に機能した。

坂本氏はこの爆傀儡拳の極意を電子遊戯として昇華させ、1983年、世界に向けてその作品を発表した。

それが後に全世界で一億本を超える販売数を記録する**「爆者人」**——すなわち「爆破する者」の名を冠したゲームであることは、今や言うまでもないであろう。


FBI爆発物探知マニュアルへの影響

さらに驚くべき事実がある。

爆傀儡拳の文献に詳述された「爆発物の最適配置理論」および「爆風遮蔽の計算法」は、二十世紀末にアメリカ連邦捜査局(FBI)の爆発物専門官の目に触れることとなった。

これを精査した専門官らは、その理論の精度の高さに瞠目し、現代の爆発物探知・対処マニュアルへの応用を即座に決定した。

2006年、この理論に基づく探知プロトコルが実際に運用され、ニュージャージーとニューヨーク・マンハッタンを結ぶPATHトンネルを標的とした大規模爆破テロ計画が未然に防がれたことは、米国諜報関係者の間では広く知られた事実であることは言うまでもない。

唐代の山岳地帯に生まれた一人の奇才の発想が、千年以上の時を超え、現代の人命救助に直結したという事実は、武術と知の普遍性を雄弁に物語っていると言えよう。

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