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民明書房刊 役に立たないネコのコトワザ図鑑   作者: ロータスシード


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ネコパンチ

根虎般地ネコパンチ

挿絵(By みてみん)

現代において「ネコパンチ」といえば、愛猫が戯れに繰り出す愛くるしい動作を想起するのが一般的である。しかし、その起源がかつて大陸を震撼させた一撃必殺の暗殺拳にあることを知る者は、今や皆無に等しい。


「根虎般地」の開祖は、清朝末期の拳法家・王酷連ワン・クレンである。彼は「百獣の王・虎の威を以て、万軍を屠る」という理想を掲げ、生涯を賭して虎の動きを武術に昇華させるべく、単身、猛虎の棲まう深山幽谷へと分け入った。


十年に及ぶ観察と修行の末、王はついに究極の奥義を感得した。「虎が獲物を仕留める直前の、あの前足の僅かなスナップにこそ全宇宙の破壊力が凝縮されている」と。彼はこれを『猛虎震天撃』と名付け、実戦で試すべく自ら育てた巨虎と対峙した。


しかし、悲劇は唐突に訪れる。


虎の動きを完璧に模倣しようと全神経を集中させた王であったが、あまりに虎になりきりすぎたがゆえに、本物の虎から「縄張りを荒らす劣等種の雄」と見なされてしまったのである。王は自慢の『猛虎震天撃』を放つ間もなく、その巨躯に組み伏せられ、修行仲間や弟子たちの見守る前で無残にも食い殺され、その短い生涯を閉じた。


師の壮絶すぎる最期を目の当たりにした弟子たちは、一様に恐れ慄いた。「虎はあまりにも危険すぎる。人間が模倣して良い存在ではない」と。


そこで彼らが目をつけたのが、虎と同じ猫科でありながら、人間と共生可能な愛玩動物、すなわち「猫」であった。虎の威圧感は失われたものの、猫特有の「相手を舐めきったような脱力」と「予測不能な連打」を武術に取り入れた結果、図らずも相手の戦意を喪失させつつ眼球や喉笛を正確に射抜く、恐るべき変則格闘術へと変貌を遂げたのである。


これが現代に伝わる「ネコパンチ」の真の姿であり、かつては「狙われた者は、そのあまりの脱力感に油断し、気づいた時には顔面が肉片と化していた」と伝えられている。


(民明書房刊『戦慄!失われた殺人拳法大系』より抜粋)

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