第2章 象徴の再発見:ヘンリー王子現象の思想的意味
※本稿は思想実験としての風刺的随筆です。
実在の人物・制度への支持や否定を目的とするものではありません。
ただ、もしアメリカに王がいたら――という想像を楽しんでいただければ幸いです。
導入
21世紀のアメリカにおいて、「王族」や「ロイヤル」という言葉は、もはや異国の遺物ではない。
むしろそれは、“セレブリティ文化”の究極形として再構築された象徴である。
大衆は政治家ではなく、血統を持たぬスターに“永遠”を見出す。
それは制度なき君主制――つまり、民主主義の皮をかぶった王制の再来である。
なかでも注目すべきは、ヘンリー王子夫妻をめぐる一連のアメリカ社会の反応だ。
彼らは王室を離脱し、英国の伝統から解放された“新しい自由人”として受け入れられた。
だがその受容の構造は、自由の称賛ではなく、無意識の「君主待望論」そのものだった。
国民は王を失った代わりに、“王の物語”を輸入したのである。
この章では、現代アメリカにおける王族文化の受容を通して、
「象徴の空白」がいかにエンターテインメントと結びついたかを分析する。
ヘンリー王子とは、単なる人物ではなく――アメリカの潜在的な“王権の夢”の容れ物である。
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次章では「“ロイヤル”の再定義:セレブ文化が生んだ擬似王制」をテーマに、さらに深く掘り下げていきます。




