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Feeling  作者: 遠藤 敦子
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 そう言えば紗良ちゃんはいまどうしているのだろうかと菜緒は考える。中学時代は菜緒も紗良ちゃんもスマートフォンを持っていなかったので、連絡先の交換ができなかった。またSNSの話になった時も、紗良ちゃんが

「私SNSやってないんだ。管理とか更新とか面倒だし」

 と言っていたのが印象的だった。紗良ちゃんはSNSをしない主義だったのだ。「宮下紗良」で検索してみても紗良ちゃんのSNSは出てこず、SNSをしないと言っていたのは本当なのだと菜緒は実感する。紗良ちゃんとの連絡手段がなくなり菜緒はショックを受けたけれど、元気に過ごしていたらそれで良いと考えた。また同窓会などで再会できればという気持ちだったのだ。



 菜緒とこずえはクラスでも部活でも生徒会でも一緒にいたこともあり、お互いがお互いを親友だと思っていた。菜緒のクラスの女子たちは優しくてさっぱりしたひとが多く、特定のグループに偏ることなくみんなが誰とでも仲良くしていたのだ。そんな平和なクラスが菜緒は好きだったし、ずっとこのメンバーのままだったら良いのにと考えていた。

 2年生からは文系と理系に分かれてのクラス分けがなされ、菜緒とこずえは文系クラスで一緒になる。1年生の時に隣のクラスだった女子たちも同じクラスになったけれど、相変わらず平和なままだったのだ。みんな高校生で精神的に大人になったのと、それぞれ勉強や部活に忙しくしており、他人のことを気にする暇やくだらないいじめをする暇はどこにもなかったからだ。

 文系クラスのメンバーの唯一の不満は担任の女性英語教師(45歳くらいで婚姻歴なしの独身。ヒステリックに怒ってばかりいる)だったけれど、担任という敵がいて団結していたのもあったのではないかと菜緒は考えていた。担任は基本的に持ち上がり制なので、菜緒の担任は3年間ずっとこの英語教師だったのだ。英語の授業とホームルームと終礼以外で会うことはあまりないので、菜緒はそこまで気にしていなかったけれど。



 高校を卒業し、菜緒は第一志望だった東京の私立女子大学に進学する。地元から離れての進学なので、言わずもがな1人暮らしをすることになった。一方でこずえは、地元の医療系私立大学ーーと言っても医学部ではないーーに進学が決まる。大学進学を機に菜緒とこずえは離れてしまうけれど、菜緒はゴールデンウィークに実家に帰省することにした。そのタイミングでこずえに会うことが決まる。

 慣れない1人暮らしや国際関係学部の授業の難しさもあり、菜緒は少しホームシックになっていた。それでもゴールデンウィークに地元に帰れること、こずえと再会できるのが楽しみだったのだ。

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