山笠vs佐藤 2
スティックからハンマーに持ち替えた佐藤は立派な警官になった山笠と一般の部で再び戦うこととなった。
「3分2ラウンド、危険な電流、温度変化があった場合はTKOになります。それではがんばってください」
先に動いたのは佐藤で勢いよくハンマーからトビを撃って衝撃波を山笠に命中させた。山笠はなんとか持っていた刃引きされた斧の柄で受け流すことが出来たが冷や汗を混ぜることとなった。
しかし互いに距離をとってサークリングをしながら小出しに打ち合うとなると、こんどは佐藤のほうがトビの威力も貫通力も上回ったが連射は若くて警官式の荒々しい撃ち方の山笠に部がある。
これではジリ貧で負けるのは佐藤である。そこで佐藤は一気に距離を詰め、山笠のこめかみをめがけてスパイキハンマーを上にかち上げた。よろめく山笠だがすぐに体勢をもとに戻してやり、負けじと斧を佐藤の額にぶつけた。
体格のいい警官にこれをされてはひとたまりもない。錯乱しつつも前蹴りを運良く命中させることに成功し、不利な打撃戦から離脱することに成功した。
ヒットアンドアウェイを繰り返す山笠はスパイキハンマーの打撃力をかなり警戒しているのがわかるが、かといって佐藤の攻撃は決定力に乏しい。
「おい山笠、あいつの手は疲れはじめているぞ」
残り30秒、同僚のヤジを聞きつけ山笠は一気にしかけてきた。斧の刃をスパイキハンマーのところに引っ掛け武器を落とさせた後に佐藤を押し倒してきたのだ。
それでも山笠がまだ斧をぐっと握りしめているのを見逃さず、寝転がりながら斧の柄を握り斜めの方向に力を逃がしてのしかかられるのを回避したのだ。
そしてスパイキハンマーを取り返したあたりでゴングが鳴った。
ふたたび立ち上がった両者であるが、佐藤は辛うじてハンマーを握っているが山笠はまだまだ変化すらない。
短期決戦をしたい佐藤は攻め時を伺い山笠はもう少し泳がしてから確実に仕留めるため、カウンターのため手ごろな打ちを期待して待っている。
佐藤がついに勝負に出る、ハンマーで顎に突きを打ちして息つく間もなく足払いをして山笠の背中を地面につけた。
足払いでころんだからといって負ける山笠ではない。覗きこんで前かがみになった佐藤を斧の柄でひっぱたき起き上がるための2秒弱を稼いで、お返しと言わんばかりのタックルを場外に押し出すために仕掛けた。
タックルをされた佐藤は一気に腰を落として互いに抱き合いながら階段で転げ落ちるように場外へと落ちていった。
ゴングが鳴ってビデオ判定となる。わずかに佐藤の方が先に場外に出ていたとのことで今回は2回戦敗退で終わった。
負けは負けである、しかし師範室の厚い木の戸越しからきいたような疑惑は晴れる戦いが出来たはずだ。