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スパイキハンマー

 シャクジョーの醍醐味といえば防具が薄いがしっかりとそんちょそこらの手持ちの武器なんかじゃあ壊れないほど粘り強く硬くしっかりとしているところである。


それだから最低でも製鉄所くらいの大きさがないと製造すら厳しいため大企業の寡占状態が続いているのがあるのは見逃せないが、案外色々なものを自由に持ち込んで戦うことができるのはどこの競技にもない特徴である。


 草を燃やすためにクワで穴を広げていたところ、金属部分と柄の部分をとめるクサビが寿命を迎えたようでぱっきりと割れてしまった。


またホームセンターで買い足そうとしたところどうやら終売していたらしい。煙のにおいがうすくなった軽トラックでリサイクルショップに行き素人目にはなんのためのものかわからない道具売り場へ行った。


ワゴンにはエンジンの点火プラグであったり大工が木材を加工する際の線を引くための筋毛引(すじけ)きであったりなどが赤い字で二桁をようやく越えたぐらいの値段で雑多に売られていた。


幸いクサビはワゴンの中から見つかったから上機嫌で佐藤はレジに向かおうとするが、農機具のあたりで気になるものがあった。


重みがあってハンマーではあるが叩く頭は細長くツルハシのようになっており、柄はしなりと弾力に優れた木から出来ている。


これは鉄道の枕木に釘をうつためのスパイキハンマーであるが、どうせ無頓着な店員が農機具だか大工道具だかと間違えたのだろう。


安かったから買った。そしてあとであんまり買わなくたってよかったような気がするとうなだれた。


だが、買った以上は使った金は意味があったと思いたいものだ。畑でスパイキハンマーを振り回しながら土のうにトビを撃った。


 飛んでいった衝撃波はスッという音をたてて土のうに突き刺さり、小指ぐらいならばまるまる入るぐらいの穴が出来ていた。


今までスティック越しにトビを撃ったとしても音が出なかったが、重みがあるとこうも違ってくるものなのだろうか。さっそく今晩の稽古に持ってみよう。


 浮き彫りになったのはスタミナが恐ろしいほど削られて、なんせ4キロ以上あるハンマーを振り回す筋肉は乳酸がパンパンに溜まっているぞと直ぐに警報を出すようになることだ。


「ハンマーがもろにアタると相当やばいっすね、特大の衝撃波を被弾したみたいに」


スパーリングをしたが後半になればどんどん失速していくのが玉にキズなところだ。しかしこれならば戦術しだいでカバーできないこともないはずだ。


 実戦で使えるよう、佐藤はクワを振るったあとは古タイヤをスパイキハンマーで叩き少しずつ慣らしていった。

 



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