06 捜索
というわけで、久しぶりに正規の任務ですよ。
でも、脱走勇者の調査ってひと言で言われてもさ、
アルセリア王都城下町って、結構広いんだけど。
『広さはともかく、こう人が多いと広範囲『探査』でも見つけるのは難しいよね』
俺の広範囲『鑑定』でも、流石に無理だよ。
『そもそも、情報が少なすぎるよ、脱走勇者ってだけじゃ』
まあ、それに関しては俺たちにも責任あり、かな。
今までも少ない情報でちゃんと結果を出してきたから、
司法省が期待しちゃうのも分かるよ。
『余裕たっぷりって感じだけど、おじさまは何かいいアイデア、あるの?』
自慢じゃないけど、いつも通りだよ。
『えーと、いつも通りってことは、行き当たりばったり?』
流石はアンチさん、分かってるね。
『……早く行こ』
レッツらゴー!
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徒労、それは人の精神を容易く蝕むのです……
『もうヤダっ、帰るっ』
ごめんね、ノープランで。
何かひとつでも取っ掛かりがあればいいんだけど……
でも、おかしいな。
いつものノリならそろそろ、
調子に乗った生意気な若造がちょっかい出してきて、
俺たちが返り討ちにするってのがワンパターンのお約束なのに。
『神様も、おんなじ展開ばっかで飽きたんじゃないの』
ぐぬぅ、放置神め。
仕事もしないくせに生意気な……
えーと、帰る前に、ちょっとだけ休憩しよっか。
『しょうがないなあ、お付き合いしてあげますか』
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城下町に新しく出店されたオシャレなオープンカフェでご休憩。
ここはアレですね、ヴェルクリの街にあったお店のチェーン店。
順調に他国展開も果たしているようでなにより。
あの可愛いオーナーさん、元気してるかな。
あれから10年以上経ったけど、さぞやお綺麗に成長されてるだろうな……
「……今日は、浮気ですか」
いえいえ、妹分と一緒にご休憩中、
って、オーナーさん!