05 指令
リリコーネさんが持ってきた指令は、
『アルセリア王都に潜伏中の脱走勇者の調査』
今はプチ世直し旅していないので、
召喚者関連の任務は、連絡があった場合のみ。
俺たちとエルサニア王家との関係を気遣ってくれた司法省から、
このスタイルを提案してくれました。
ふむ、脱走勇者絡みってことは、荒事の可能性大、かな。
それじゃ今回も、俺とアンチさんで出動だね。
『大丈夫かよ、いい歳したおっさんが荒事に首突っ込んで』
大丈夫だよ、これでもノミネスコ老師の弟子ですから。
『爺ちゃんが、早くヅラの代金持ってこいって』
……老師、元気してた?
『アレは、エルサニアが滅亡しても死なねえよ』
ヅラのお金、渡してきてくれる?
『ちゃんと自分で持って来いって言ってたぞ』
『それと、マーリエラ姐さんにメイド服着せてきたら、半額にしてやるってさ』
うん、俺もめっちゃ見たいっ、
じゃなくて、うちの嫁さんをダシにしないようにって、キツく言っといて。
『ダシにはしないがオカズにするかもな』
『まあ、指令は伝えたから、俺は帰る』
『それじゃ、またな』
はい、お疲れさま。
このあいだみたいに、美猫に見惚れて馬車に轢かれないよう、気を付けてね。
それにしてもホント、口が悪いにゃんこだよね。
うちの子たちからモフられるのが苦手だから、すぐに帰ってくれて助かるよ。
やっぱり、"毒舌は情操教育のイチバンの敵"、だよね。
バタンッ
「ただいま、パパ」
「にゃんこのリリちゃん、来てるって聞いたよ!」
「ただいま、お父さん」
「リリコーネさん、どこ?」
『ただいま、ノアルパパ』
『早くもふもふしたい……』
あー、残念。
入れ違いで帰っちゃったよ。
「えーっ」×3
今度来た時は、しっかり口を縛って捕縛しておくから。
それよりも、早く手洗いうがいしないと、
おやつ抜きになっちゃうよ。
「はーい」×3