04 進捗
エルサニアとクルゼスの戦争も、相変わらずの膠着状態。
俺的には、あの状況は意図的なモノにしか見えないのですが。
ただ最近になって、エルサニアでの召喚者呼び出し儀式のペースが妙に増加しているそうなのです。
あの真面目一辺倒なライクァ王が、先代ハルシェリカ女王と同じ過ちを繰り返すとは思えないので、
何らかの異変がエルサニア城内で起きているのかも。
あそこから避難してきた俺が言うのもなんですが、
今さら戦火拡大とか飛び火とか、本当にご勘弁。
まずは、エルサニア王都で暮らしている皆さんが無事でいられますように。
旅暮らしがメインのアシュトさんたちは、
気にせず普段通りにエルサニア王都のご自宅に戻っているそうですが、くれぐれもご注意の程。
ってか、あのふたりもいい加減進展してほしいのですが……
こうして考えると、ノアル家は良縁やタイミングに恵まれていたんだな、と。
これもひとえに、普段からの俺の行いが良かったおかげ、だよね。
『……』
最近、アンチさんがツッコミしてくれなくて、
おじさん、ちょっと寂しいです……
『ホント変わらないよね、おじさま』
『見た目は結構……』
そういうツッコミはヤメテ、普通にヘコんじゃうから……
『それよりも、速達猫、来てるよ』
おっと、お仕事ですよっ。
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速達猫のリリコーネさんは、巡回司法省から俺たちに連絡ごとがある際に『転送』で飛んで来る、
『コレクショニア』専任の使い魔。
見た目は可愛らしい白にゃんこですが、
『転送』以外にも様々な魔法を使いこなす凄腕の使い魔なのです。
いや、自立した存在なのだから、使い魔では無いのかな。
そして……
『おやつ、早く!』
やたらと食いしん坊で、
『髪型、変えた?』
『いや、生え際が後退したんだな』
凄い毒舌家で、
『あの子らが帰ってくる前に、とっとと指令を伝えるぞ』
子供が大の苦手。