02 日常
俺は、相変わらずの冒険者。
6人家族の家長は、当然、大黒柱としても頑張らねばならぬ。
でもご安心。
あの厳しい修行の甲斐もあり、おかげさまで討伐依頼もこなせるようになりましたので、
こうやって冒険者として家族を養うことも出来ているのですよ。
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「パパとジョウトおじさん、どっちが強いの?」
おっと、流石はやんちゃなリシェルちゃん、直球勝負なご質問。
そうだね、今は……
武器アリならジョウトさん、
素手なら俺、かな。
「じゃあ、ゼルサニアお兄さまとお父さんなら?」
これまた鋭いご質問、流石は賢いルシェリちゃん。
そうだね、いかに騎士修行の成果も目覚ましいゼルサニア王子でも、
今はまだ俺の方、かな。
『アンチ姉さまとノアルパパは?』
おっと、スーちゃんもですか。
えーと、本気出せばギリギリ勝てる、かも……
でも、乙女相手に本気でバトるのは俺らしくないよね。
だから、アンチさん、だね。
「ってことは……」
「一番強いのはやっぱり……」
『マーリエラママ!』
はい、大正解。
見事正解した3人は、マーリエラさんからご褒美のおやつを貰ってきてね。
「はーい」×3
うん、家庭内ヒエラルキー的にも大正解ですよね。
凄腕特務司法官モード、しっかり者ママさんモード、お色気人妻モード、
つまり通常の3倍にブーストされたマーリエラさんが相手では、
俺なんて秒殺・瞬殺・イチコロの、チョロい3連星間違い無し!
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ゼルサニア王子は、すっかりイケメン王子様。
最近は、うっかり城下町なんて出歩くと、
乙女たちが群がってきて、そりゃあもう大騒ぎ。
今はうちにも滅多に来られないのです。
妹君のユイメイア姫は、国民の人気が輪を掛けてハンパ無し。
老若男女からのあまりの凄まじい人気に、お城の外にはほとんど出られないというお姫さまっぷり。
俺の方は、エルサニア王家との例の揉め事の件もありますし、
アルセリア王家に迷惑掛けないよう、お城には余程のことがない限り近付かないようにしてますので、
ユイメイア姫とはほとんど交流出来ておりません。
3人娘たちは凄く残念がっておりますが、
そもそも以前のように、王家の方々と気軽にお茶会出来てたことがイレギュラーですので。
いずれ世の中がもう少し落ち着いたら、
家族揃ってきちんとご挨拶に伺いましょう。