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11 善意


 その後、事態は急展開。


 巡回司法省の情報網にも引っ掛からなかった定期報発行者、


 発見の糸口となったのは、とある占い師。



 かなりの凄腕占い師だそうで、たまたま占ってもらえた巡回司法官が進むべき道を示されて、


 言われるがままに行動しただけで定期報発行者を見つけられたのだとか。



 なるほど、こっちの世界なら、魔導のチカラやら何やらを駆使すれば、


 まともなサイキック捜査も出来ちゃうってことですな。



 ちなみにその凄腕占い師は、巡回司法省ですら全く素性を把握出来ない謎の人物だそうです。



 ---



 毛増坂 音凝 (ケマシザカ ネコリ)さん。


 アルセリア王都に潜伏していた定期報発行者は、


 やはり脱走勇者でした。



 ハルシェリカ女王全盛の頃に召喚されたネコリさん。


 固有スキル『裏テイム』の有用性を認められて、即、エルサニア軍諜報部隊に配属。



『裏テイム』:他のテイマーが使役している使い魔に干渉出来る能力



 インターセプトして操れるだけではなく、気付かれないように便乗テイムすることも出来るそうです。


 つまり、敵側のテイムしている使い魔に相乗りすれば、情報取り放題。


 確かに、諜報部隊が欲しがりそうな能力ですね。



 ただ、元々動物好きのネコリさんにとって、可愛い使い魔を戦争に利用するなんて我慢ならない行為。


 戦争したいならヒト族だけでやれよってことですな。


 うん、何となくわかる。



 ネコリさんの相棒、使い魔"ストリーケ"さんは、ナイトメアキャット変異種。


 元々種族的に、戦闘力・隠密性・賢さ、その全てが高水準。


 そしてストリーケさんは、『転送』他、各種魔法を自在に使いこなせるほどの強個体変異種。



 子供の頃から一緒だった軍属テイマーのご主人を戦争で亡くしたストリーケさん。


 とっとと軍を抜けたいのに、軍属従魔登録のせいで自由になれず。


 そして、新兵のネコリさんに出会って、一目惚れのベタ惚れ。




 新しいご主人はとってもいい人だけど、呑気で弱々で、戦場なんかに行ったらすぐにやられちゃいそう。


 戦争嫌いみたいだし、あの計画に誘ってみようかな。



 

 エルサニア軍諜報部隊の期待の新星、ネコリさんと、


 テイマー部隊の有能使い魔、ストリーケさん。



 戦争嫌いで意気投合したひとりと一匹は華麗に大脱走。


 そして、逃亡生活の始まり。



 ---



 ひとりと一匹は、お互い助け合いながら静かな逃亡の旅を続けて、


 流れ着いたのはアルセリア王都。


 平穏この上無しのアルセリアに大満足、そして定住を決意。



 目立つのは厳禁なので、ギルド登録の必要な冒険者は無理。


 ストリーケさんの提案で、


 ひっそりと裏の情報屋みたいな仕事を始める。



 裏仕事と言っても悪事は嫌、基本的には失せ物探しや尋ね人捜索。


 お互いの能力を活かし合うことで、仕事の方は大成功。



 ただ、ネコリさんにはこの暮らしが少々ストレス気味。


 どんなに仕事を頑張っても、目立っちゃいけない隠遁生活。



 で、ストレス解消で始めたのが、世の中の楽しい出来事を広くみんなに伝える定期報作り。


 秘密の暴露とか、そういう悪気は毛頭無くて、


 みんなが楽しめるような読み物を配りたかっただけ。



"速達鳥"で使役されている使い魔に相乗りテイムしながら情報を得て、


 定期報作りは順調。



 もちろん、配る先も厳選。


 基本的には、『下職制度』や『低職処分』で戦争と関わらなくなった召喚者に向けて。


 異世界で頑張ってる人たちに少しでも癒しを届けたいっていう、本当の善意から。



 ただ、いくら悪気が無いからって、記事にされた人たちの同意無しの情報拡散はNGだってこと、分かって欲しかったのです。



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