10 自慢
ナーシェミさんのカフェ、お店の名前は"スイートカフェバー"
チェーン店ですが、各地の出店先でも大人気なのだそうです。
ちなみに、みんなからは"スイカバー"って呼ばれて親しまれていますね。
今日は、家族全員でおじゃましております。
子供たちはパフェに夢中ですよ。
口の周りをベタベタにしながら、おしゃべり無しの真剣勝負中。
『……』
アンチさんもですか。
「……」
マーリエラさんまで……
あー、気持ちは分からんでもないです。
女の子にとっては、甘味の最終兵器ですもんね、パフェ。
「まさに幸せ家族、ですね」
はい、自慢の家族です。
でも、ナーシェミさんご自慢のパフェの前には、見事に全員メロメロですよ。
「恐れ入ります」
「それで、これが例の、召喚者に送られてくる定期報です」
"ケマネコさんの召喚者通信"、ですか。
どれ、ちょいと拝見。
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……何だか、思っていたのと違いますね。
各家庭で起きた楽しい出来事を紹介する、
家族新聞の全国版とでも呼べそうな記事ばかり。
もっとストーカーちっくな暴露ものかと思ってましたが。
「そのように優しい記事ばかりなので、父も楽しみにしているのです」
「でも確かに、各家庭の最新情報を許可も得ずに披露されるのは……」
これは、直接速達鳥で送られてくるのですか?
「いいえ、気が付くといつの間にか届いているのだとか」
「父の話しでは、隠密性の高い特別な使い魔を使っているのだろう、とのことです」
ふむ、何となくカラクリが読めてきたような……
この定期報、お借りしてもよろしいでしょうか。
「はい、捜査の方、頑張ってください」
「出来れば、この件は平和的に解決すると嬉しいのですが……」
俺の予想では、荒事にはならないと思います。
さて、みんなは満足したかな。
って、パフェおかわりしてるし……
お腹、壊さないでね。




