17.スキル三へ
スキルオーブを手に入れたので、その日の夜は早速、スキルの強化だ。
すでにスキル値が二なっているユフィーに二つの剣術一を転移したのだが、その結果はこうだ。
「スキルは上がりませんした。ですが、スキルの数字の下に、一と斜めの棒と六という表記が増えています」
「ほうほう、それって分数が表示されてるのか?」
「分数ですか? それは何でしょう?」
ユフィーは、どうも分数を理解していないようだ。
まだこの世界で使用されていないのか、それとも彼女の施された教育にはなかったからなのかは知らないが、次回にまた報告をさせて分子の方が上がっていれば、スキル値を二から三にするにはスキルオーブが六つ必要だと分かるはずだ。
「じゃあもう一度強化をするから、その結果を教えてくれ」
再びユフィーのスキルを強化すると、やはり答えは俺の思った通りだった。
これが分数で合っているならば、後四回剣術スキルをユフィーに転移すればスキル値は三になるはずだ。
これって相当格安で強者を作れるってことだよな。
ははっ、ロリ神様を軽んじたことを詫びねえとな。
次の日も朝飯を食ったら森に向かう。
もう草集めなんてする気はないので、やる気しかないユフィーに任せて狩りまくった。
「はぁ、はぁ、はぁ、くそっ、また逃したか……」
「すみません……。私が気づかれたばかりに……」
「はぁ、はぁ、いや、俺も全く駄目だった。あんな近くを通ったのに、カスリもしねえなんて」
ユフィーが小型の動物を見つけたので、俺は木の棒片手に逃げるであろう方向に回り込み待機していたのだが、彼女が少し近づいただけで小動物は逃走を初め、俺の方へと走ってきたがスイングは全く当たらず空振った。
その後も追いかけたのだが、当然追いつくことなく失敗だ。
たまにうさぎみたいな動物とか、鹿とか、鳥とかを見かけて狩ろうとしているが、こちらを見つけたら逃げてしまうタイプ相手だと、遠距離武器がないと狩るのが難しいらしい。
うーむ、遠距離武器、ありだな。
こんなことがあっても狩りは順調だし、ユフィーと過ごす日々は楽しい。
異世界の日々は想像していたより順調に進み、すでに一週間の時間が過ぎていた。
その中で多少なりの出会いもある。
「へ~、奴隷だったんだ貴方。てっきり、そっちのお兄さんが従者なのかと思ったわ」
「ち、違います! ダイキ様が私の主人です!」
ユフィーに話し掛けているのは、年の頃三〇歳前後の女性だ。
彼女は王都へ出稼ぎに来ている冒険者で、彼女の他にも二人の仲間が一緒にいる。
剣を腰に据えた彼女と同年代だろう男と、斧を片手に持ち弓を背負った獣人の男だ。
見た目からしてベテラン冒険者って感じが滲み出ている。
出会いは王都を出て数分後のこと。
後ろから歩いてきた女冒険者から声を掛けられた。
「貴方から気品を感じたから、どこかのご令嬢が冒険者遊びでもしてるのかと思ったわ」
「た、たしかに以前は貴族でしたが、今は奴隷なのです」
「ふ~ん、何か事情があるのね」
俺と男性陣が無言で歩く中、彼女たちの会話は止まらない。
「へ~、毎日あの森に入ってるの? そこまで稼げないでしょ~。他に移動してみれば? たとえば~、この街道を一日移動した先にある岩場とかなら、森より稼げるから案内するわよ?」
「どうなのでしょう? ダイキ様が判断なさいますから、私はそれに従うまでです」
「そうなの? でも、ご主人様も儲けが多い方がいいんじゃないの?」
「ん~、ダイキ様、如何しますか?」
急に会話を振られて戸惑ったが、首を傾げた可愛い仕草のユフィーに返事をする。
「当分、あの森で良いよ。安定して稼げてるし」
「そうですよね。ダイキ様がこう仰っしゃられているので、まだ森で狩りをします」
「そう? 貴方が戦ってるみたいだから、貴方が大丈夫なら問題なさそうなのにね?」
丸腰の俺を女冒険者が不審そうに見ている。
何だ、戦ってる奴が方針を決めた方が良いって言いたいのか?
確かにそうだろうけど、今はまだ良いんだよ!
「わ、私はダイキ様の剣なので、私が戦うことは当たり前なのです!」
「ふーん、ならいいわ。稼ぎたくなったら声をかけてね? 私たちはもう行くわね。じゃあね、ユフィーリットちゃん」
彼女はそう言うと、二人の仲間と共に去っていった。
「ずいぶん話してたな。やっぱり女同士は会話が弾むか?」
「そ、そうですね……」
「何だ、あの女が気になるのか?」
ユフィーは道の先を進む女冒険者の背中を見つめている。
「いえ、そうではないのですが……」
うーん、同性と話をして、男との行動が嫌になっちまったか?
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