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僕は王子様に恋をする  作者: はま乃
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俺は覚悟した

 「俺の恋愛に干渉しないこと」

 つまり、「お前とは恋愛する気がない」ということだと思う。

 俺は男だし、仕方がないことだと思う。

 でも、キスするなんて。俺の反応を見て、面白がっているのがすぐわかった。

 谷があんな風に言う理由が予想できた。

 きっと藤崎は、人をからかって弄ぶことに楽しさを感じるようなやつなんだ。まるで悪魔のような。近づくのは危険だと、俺の脳が精一杯心に呼びかける。

 でも、俺もまた、こんな形でも藤崎の視界に入れたことに喜びを感じていた。ニヤッとした感じの悪い笑顔さえ、セクシーに感じる。でも、その笑顔とは真逆で、キスした時に俺のあごをつかんだ時の手は、すごく優しかった。

 夜に部屋で一人。こんなことを思い出しながら赤くなってる俺は、もうどうしようもなく情けない。

 情けないよな。それに、そんな先のない関係は虚しいだけだ。わかってはいる。

 でも一方で、こんな好機は流すべきじゃないと、心の声が聞こえる。自分が好きな人が、本来なら自分とは一切関わる事ができないような人が、変な条件付きではあるけど、仲良くしようと言ってきた。

 こんな機会はもうないだろう。

 多分そのうち藤崎には彼女ができて、放課後の時間さえ過ごせないようになるのだろう。

 でも最初からそのことを覚悟していたら、傷つかないのではないだろうか。

 それに、一緒に過ごしていくうちに藤崎の悪い部分をたくさん知って、好きじゃなくなる可能性もあると思う。

 とにかく今は、ちょっとの関わりでもいいから関係を持ちたいんだ。 

 俺はケータイを手に取ると、メッセージを打つ。

 「明日一緒に帰るの楽しみにしてる」

 送信すると、しばらくドキドキしていたが、藤崎から返事がくることはなかった。

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