作戦2 周りから攻めよう2
部活が終わって今は20時。俺は何故かオシャレなカフェにいる。制服に着替えたとはいえ、汗の匂いが漂ってる気がする。早く帰って風呂に入りたい。
「カフェオレ1つ、お待たせしました」
そう言って店員はテーブルにカフェオレの入ったカップを置くと、小さい声で、
「もうすぐ終わるから、ちょっと待ってて」
といい、戻っていった。藤崎の友達の谷 涼太だ。
放課後、部活に行く前に谷に声をかけた。藤崎と仲良くなるための糸口が見つかる気がしたからだ。
「谷、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、今少しいい?」
すると谷は少し考えて、
「ごめん、俺すぐバイトに行かなきゃいけないんだ。もし佐々木くんがいいなら、部活の後に俺のバイト先の店にこない?駅の近くのNagomiってとこなんだけど」
そして今、俺はここにいる。
谷のバイトが終わるのを待つと、一緒に駅まで歩いた。
谷は、無愛想な藤崎とは真逆でいつも笑顔だ。背も藤崎と同じくらいで高く、穏やかな雰囲気でいつも落ち着いていて、きっとモテてると思う。こういう魅力的な人じゃないと、藤崎の友達にはなれないのだろうか。
最初に口を開いたのは谷だった。
「待たせてごめんね。で、何を聞きたいの?」
「いや、俺こそ突然ごめんな。大したことじゃないんだけどさ、、」
俺は少しためらってから、
「谷は藤崎とどうやって友達になったのか聞きたくて」
「望?」
「うん」
「ふぅーん。なるほどね」
そう言ってニコッと笑うと
「佐々木くん、望のこと好きなんだ」
「好きぃ?」
思わず声がうわずった。
「いや、俺は友達になりたいだけで」
「あはは。佐々木くんてわかりやすいね。俺は望と友達かって聞かれたら、微妙かも。そこまで仲良くないよ」
「そうなの?」
「うん。幼馴染なんだ。3歳の頃から知ってる。それだけ」
「そうなんだー…」
幼馴染か。きっと長い時間をかけて信頼できる相手になったから、今でも一緒にいるんだ。俺には真似できないことだ。
がっかりしていると、
「佐々木くんってほんとにかわいいね。思ったことが全部顔に出てるよ」
「か、かわいい?」
俺はからかわれてるのだろうか。なんだかわからないけど、顔が熱くなる。
「佐々木くんが良い人そうだから教えるけど、望はやめたほうがいいよ」
「え?」
「あいつ、性格歪んでるから。望に惚れると痛い目にあうよ。忠告しておくね。じゃあ俺電車だから。佐々木くんは自転車だよね?駅に停めてる?」
「お、おう」
「気をつけて帰ってねー!また明日学校で♪」
そういうと谷は駅の中に入っていった。
性格歪んでるって、どういうことだろう。たしかに、あの冷たさは普通じゃない気はするけど。
やめようと思ってやめられたらどんなにいいことか。恋は盲目、恋は錯覚だという言葉があるように、好きという気持ちは理屈じゃない。頭ではやめようと思っても、やめられないんだ。
次の日の放課後、俺は藤崎と二人、誰もいない教室にいた。
次は望くんが登場します。よろしくお願いします。