佐々木恭は普通の男の子
恋愛は少しこじれる方がいい。
順調にいったって面白くない。山あり谷あり、浮き沈みがあるからいいんだ。最初はそっけなかった相手が、徐々に心を惹かれていって、しまいには嫉妬に狂うなんてのも最高だ。不器用な恋愛こそ、読者の心をぐっと掴むんだ。
俺は佐々木恭。どこにでもいる普通の高校生だ。
部活は野球部。そう、よくいる男子高校生。
趣味は小説や漫画を読むことだ。そう、小説や漫画。男子高校生が読みそうなのは、ミステリーかファンタジー、ホラー、スポーツ青春系、戦い系だと思われがちだ。でも俺が好きなのはその中のどれでもない。俺が好きなのは…、
「恋愛小説」
「わぁ!!!!」
俺は驚いて、思わず読んでいた本を伏せた。後ろを向くと、幼なじみの理子が立っていた。
「あんたほんとに好きだねぇ。学校でも読むなんて!秘密にしてるんじゃなかったの?」
「おい、静かにしろよ!」
俺は小さい声で続けた。
「…カバーかけてんのに、なんで恋愛物だってわかったんだ?」
理子はバカにしたように笑いながら
「だってこれ私も読んだもん。でもこれ、相手役がツンツンすぎてイライラしない?」
「ツンツンが最後にデレデレになるからいいんだろ!」
「ふぅーん。ツンデレが恭の好みか。うちの学校でツンデレっていったら誰かなぁ。恭のクラスにいるの?あんたも小説とか漫画ばっかり読んでないで、そろそろ自分の恋愛しなよ」
「知らねーよ!!もう自分のクラスに戻れよ!」
「はいはーい」
そう、俺が好きなジャンルは“恋愛”だ。読んだ恋愛物は数多いが、自分の恋愛経験は未だゼロ。
初めての投稿です。胸キュンできる作品にしたい!どうぞよろしくお願いします!